主要なカード決済とセキュリティ対策を一挙紹介(2)

2015年4月15日8:16

主要なカード決済とセキュリティ対策を一挙紹介(2)
オンラインプリペイドカード/非接触電子マネー

主要なカード決済とセキュリティ対策を一挙紹介(1)

オンラインプリペイドカードの導入が加速

プラスチックのギフト・プリペイドカードは、オンライン上のサーバでバリューを管理しネットワーク経由でサーバにアクセスし、金額をチャージ(入金)する仕組みとなっている。店舗側は既存のPOSにギフト・プリペイドカードのシステムを組み込むか、専用端末、クレジットカード端末などを利用して金額のチャージや決済処理を行うことができる。

ユニーグループの電子マネー「uniko(ユニコ)カード」(ユニー)

ギフト・プリペイドカードには、日本百貨店協会の「百貨店ギフトカード」やてもみんの「てもみんギフトカードDX」といった使いきりタイプがある。

また、繰り返し金額をチャージできるリチャージタイプのカードを発行する企業も数多い。例えば、コーヒーショップでは、スターバックスコーヒー・ジャパンの「スターバックスカード」、ユーシーシーフードサービスシステムズの「PRECIOUS CARD(プレシャスカード)」、カフェ・ド・クリエの「カフェ・ド・クリエカード」、タリーズコーヒージャパンの「TULLY’S CARD(タリーズカード)」などが発行されている。また、スーパーマーケットでは、ユニーグループの「uniko(ユニコ)」、イズミ/ゆめカードの「ゆめか」、イズミヤカードの「miyoca(ミヨカ)」などがあり、各ASP企業では導入に力を入れている。2014年はドン・キホーテの「majica(マジカ)」がスタートし、順調に売り上げを伸ばしている。

さらに、オンラインコンテンツやオンラインショップで利用できる「iTunes Card」、「Amazonギフト券(カードタイプ)」、「Mobageモバコインカード」、「Amebaプリペイドカード」といったカードもある。

リチャージタイプでは、出光興産と出光クレジットが展開する「出光キャッシュプリカ」の発行額が多いといわれる。出光SSで入金することでプリペイドカードとして利用することが可能だ。

ギフトカードが普及した米国でも、サービスのスタート当初は8割が自己利用で残りの2割がギフト用途だった。日本においても、まずはプリペイドカードとしての認知が進み、その後ギフトカードとしての普及が始まると思われる。

ギフト・プリペイドカードの導入が広がりつつある理由としては、顧客のカード購入と同時にPOSレジでカードに金銭的価値の付与、カード発行企業の販売網の構築、販促施策の実施などを行う「ギフトカードモール事業」を展開する企業の増加が挙げられる。これまで国内ではセブン-イレブン、ローソン、ファミリーマート、サークルKサンクス、スリーエフなどのコンビニエンスストアをはじめ、イオン、西友、ダイエー、ビックカメラ、ヤマダ電機、ヨドバシカメラ、TSUTAYA、ゲオなどがギフトカードモール事業を展開している。

また、今後はVisaやMasterCardなどの国際ブランドが搭載されたプリペイドカードの普及が期待できるだろう。すでに国際ブランドを搭載したプリペイドカードを発行するイシュア(カード発行会社)のなかにもコンビニやGMSでの販売を検討しているところもある。米国では、国際ブランド搭載のカードの伸びが著しいこともあり、国内でもインフラの整備が進めば、一気に普及する可能性もある。

クレディセゾンとココカラファインは、日本初の国内外Visa加盟店で利用可能なVisaプリペイドカード「ココカラクラブカード」を発行している。また、KDDIでは、全世界のMasterCard加盟店で利用できるサーバ管理型プリペイドカード「au WALLET」の申し込みを2014年5月8日からスタートし、発行枚数は順調に増加している。さらに、ライフ、楽天カード、三菱UFJニコスはオンラインで利用可能なプリペイドカードを発行している。

Vプリカギフトは、世界最大の旅行予約サイトエクスペディアのキャンペーン(「みんなの旅モチネタ」キャンペーン)のインセンティブとして利用(ライフカード)

なお、国内で国際ブランドが搭載されたカードが普及するための課題としては、リアル店舗などのインフラ面の整備が挙げられるが、その問題も徐々に解消されてきている。

いずれにせよ、ギフトカードモールの展開や国際ブランドが搭載されたカードなどの登場などにより、ギフト・プリペイドカードの市場が大きく広がることは間違ない。

順調に市場が拡大する非接触電子マネー

国内の主要な非接触電子マネーは、ソニーの「FeliCa」カードが採用されている。普及している分野としては、コンビニエンスストアをはじめ、駅売店や自動販売機、ファーストフード店など、平均単価が低い店舗が中心だ。また、イオンの「WAON」はグループのスーパーマーケットなどで利用を伸ばし、決済単価が極めて高いのが特徴だ。

さらに、イオンの「WAON」、セブン&アイ・ホールディングスの「nanaco」は、ポイントサービスなど、グループの販促活動にも有効活用している。最近では「楽天Edy」を発行する楽天Edyが、「楽天スーパーポイント」を絡めた販促施策を積極的に展開している。
電子マネーは順調にすそ野が拡大しており、今後数年は堅調に成長を続けることは間違いない。近年は、マルチ決済端末やシンクライアント型決済端末の普及により、加盟店が複数の電子マネーを導入する環境も整いつつある。

(1)JR東日本「Suica」
全国相互利用の開始で利便性が向上
乗車券での利用率は9割を超える

JR東日本のSuicaの発行枚数は約4,983万枚。また、モバイルSuicaの会員数は約353万人となっている(ともに2015年1月末時点)。Suica、PASMO、ICOCAなどの10の交通系ICカードで全国相互利用サービスを開始しており、IC乗車券として全国の約4,500駅で利用できる。また、電子マネーとして駅ナカ、街ナカの全国約28万店で利用可能だ。

交通系ICカード「Suica」(JR東日本)

Suicaの利用が多い業種は、コンビニエンスストアや駅ナカ店舗、自動販売機などとなる。また、「全国展開しているチェーン店や、ゲーム機や機内販売、観光地などに代表される新しい領域への営業を強化している」とJR東日本ではコメントしている。モバイルSuica会員の利用者拡大に向けては、2014年3月9日からEASY会員のキャリア決済を導入し、利便性向上を図り、会員拡大に努めている。また北陸新幹線・上越新幹線キャンペーンなどを実施し、利用者に訴求している。

Suica電子マネーでの買い物でポイントが貯まるサービス「Suicaポイントクラブ」の会員数は約196万人(2015年1月末現在)。今後もSuicaポイントクラブの加盟店開拓を引き続き推進して行く方針だ。

さらに、首都圏の鉄道でのSuicaの利用を9割まで高めるということが以前の目標だったが、現在では9割を超えるレベルになっているそうだ。

全国相互利用サービスのシンボルマーク(全国相互利用サービス開始のプレスリリースより)

(2)セブン・カードサービス「nanaco」
セブン-イレブンでのnanacoの利用率は順調に伸長
堅調に利用件数は増加し、キャッシュレス化が加速

セブン&アイ・ホールディングスの電子マネーとして2007年4月からスタートした「nanaco」は2014年11月末現在、累計発行件数約3,548万件、月間利用件数が1億2,300万件、利用可能箇所が15万6,300カ所となっている。

セブン&アイホールディングスの電子マネー「nanaco」(セブン・カードサービス)

nanacoにはプラスチックカードの「nanacoカード」と携帯電話やAndroid搭載スマートフォンによる「nanacoモバイル」がある。利用額については、大きく成長は続いているが、nanacoモバイルについては、成長はしているがカードに比べて比率は低いそうだ。

現在、nanacoの利用率は、セブン-イレブンで順調に伸びている。セブン・カードサービス執行役員 電子マネー開発部担当 磯邊俊宏氏は、「お客様から電子マネーでのお買い物が認知されてきました」と成果を口にする。例えば、イトーヨーカドーでは、nanacoの開始前からクレジットカードが使われていたが、現在も利用率は伸びており、「徐々に非現金化が形になっています」と同氏は話す。

販促については、セブン-イレブンやイトーヨーカドーの店舗のスタッフを中心に積極的に展開。また、ポイントキャンペーンなども有機的に行えるようになってきた。例えば、セブン-イレブンでは、nanaco以外の電子マネーやポストペイ導入にも積極的で2008年4月7日からJCBの「QUICPay」、2009年10月からは楽天Edyの「楽天Edy」、2010年7月からはNTTドコモの「iD」、2011年3月からは交通系電子マネーを全国のセブン-イレブンで導入している。また、2014年5月にスタートした「au WALLET」のポイントアップ店にもなっている。他の電子マネーを導入してもnanacoの利用についての影響はなく、キャッシュレス化が加速しているという。

また、イトーヨーカドーでチャージ機の設置を開始。これまでも加盟店のレジのオペレーションはスムーズだったが、よりそのスピードを早くするために2015年2月末までに1店舗あたり2~3台のチャージ機を設置予定。

さらに、新規出店などに合わせて券面のデザインを変更したnanacoも約190種類発行。地域の店舗から要請を受けて発行しており、店舗のコストも追加で発生するが、その分各店舗が獲得に力を入れてもらえるメリットがあるそうだ。

セブン・カードサービスでは、中国銀行とnanacoを活用した地域カードの発行準備および利用環境整備の相互協力に関する基本合意書を締結。基本合意書に基づき、nanacoを活用した地域カード「晴れの国カード」の発行および岡山県を中心としたnanaco会員・加盟店の拡大に向けて、相互協力を開始する。特徴としては、中国銀行が申し込みを行い、同行が発行するクレジットカードが紐づく。従来からあるnanacoの仕組みを使っているが、システム投資がそれほどかからない点がポイントだ。また、地域の金融機関と提携することで、加盟店開拓は進むとみている。

さらに、サーバ管理型電子マネー「ゆめか」を発行するイズミとは、双方の電子マネーの相互利用を実現するため、2013年12月13日から、広島市内のセブン-イレブン19店舗で電子マネー「ゆめか」の利用を行っている。また、香川のゆめタウン高松・徳島のゆめタウン徳島の2店舗においては、「ゆめか」用端末を使ってnanacoの支払いが行える。

インターネット決済の拡大にも期待している。セブンネットショッピングでは、インターネット決済サービスを2013年3月28日から開始。nanacoのインターネット決済サービスは、セブンネットショッピングが運営するECサイト「セブンネットショッピング」のスマートフォン向けサイトにおいて、「おサイフケータイ」対応端末での利用が可能となっている。

セブン・カードサービスでは、まだまだnanacoは発展途上であり、さらに電子マネーの利用は伸びると考えている。今後も、さらなる利用活性化に向けた投資は行っていきたいとしている。

(3)イオン「WAON」
イオングループでのキャッシュレス化に貢献
地域独自の券面のカードも発行

イオンの電子マネー「WAON」は、2007年4月からサービスを展開している。WAONの2014年12月末時点での発行枚数は約4,680万枚、利用可能カ所は約20万2,000カ所(自販機・ドライバー端末約12万7,000カ所含む)。2013年度の年間決済金額は約1兆5,800億円、年間平均単価は約1,750円、年間決済件数は約9億件となっている。

イオンの電子マネー「WAON」(イオン)

現在、加盟店は、イオン、マックスバリュ、ミニストップなどのイオングループ企業をはじめ、ファミリーマート、マクドナルド、吉野家、ヤマト運輸、ビックカメラ、藤田観光などの外部加盟店が名を連ねる。

イオンにはグループ企業のイオン銀行が発行する「イオンカード」があり、WAON同様によりお得な買い物ができるよう各種施策が展開されていることから、顧客へのWAON、イオンカードの浸透率は高く、店頭でのキャッシュレス化につながっている。入金限度額も顧客の声に応える形で、2011年4月には従来の2万円から5万円に引き上げられた。

加盟店開拓において注力しているのがWAONの「地域カード化」だ。同社ではWAONを通じて、地域の活性化や観光振興などに役立ててもらう取り組みを全国各地で進めている。地域WAONは、全国どこで利用しても0.1%が自治体や地元の団体に寄付され、地域の振興や活性化に貢献するモデルである。

同カードには複数のアプリケーションを搭載可能な「FeliCaポケット」の機能が搭載されており、すでに香川県高松市の「めぐりんWAON」や長野県佐久市の「佐久っ子WAON」といった成功事例も生まれている。

今後は、そのモデルを横展開することで、全国各地で地域カードとしての活用を図る。

(4)楽天Edy
楽天スーパーポイントがお得に貯まるサービスを訴求
「Rポイントカード」などグループとの連携を強化

楽天Edyが提供する「楽天Edy」の2014年11月時点の累計発行枚数は8,480万枚、うちおサイフケータイの台数が1,840万台、利用可能カ所は39万カ所、月間利用件数は3,290万件となっている。

2014年度はスーパーマーケットへの営業を強化して実施。サニーマートに導入したことにより、四国全体の売り上げがアップした。スーパーマーケットでは、現金利用者よりも1.2~1.5倍ほどの利用回数があるそうだ。また、近年はカード会社と協力し、加盟店開拓を行うことも多い。大手では、モンテローザ、カクヤスなどへ端末を導入している。

スーパーマーケット「サニーマート」で利用できる「ハーティEdyカード サニカ」(サニーマート/ブルーチップ/楽天Edy)

ユーザーについては、おサイフケータイが利用できないiPhoneユーザーに対する準備として、楽天市場に「楽天Edy Official Shop」を出店しており、カードの販売が好調であるという。ユーザーはインターネット上で会員IDとEdy番号を登録すると「楽天スーパーポイント」が付与される。楽天Edy事業企画・マーケティング部 事業企画グループ マネージャー 村松大介氏は、「モバイルユーザーについても純減ではなく、むしろ成長しています」と説明する。

現在、注力しているのは約9,400万人を有する楽天ユーザーに対してのサービスだ。楽天スーパーポイントから楽天Edyへの等価交換を実施。村松氏は「主要なコンビニのすべてに入っていることもあり、楽天スーパーポイントをEdyに交換していただくことによって、共通ポイントで一番ポイントが貯まる加盟店ともいえます」と口にする。

また、楽天カードから楽天Edyへのチャージでもポイントが貯まる。楽天Edyでは「Edy deポイント」で200円ごとに1ポイント付与している。また、「楽天カード」から楽天Edyをチャージすると、200円につき1ポイントが貯まるサービスを2014年12月9日から開始している。さらに、サークルKサンクスなどの「Rポイントカード」提携店で買い物をすればプラス1ポイントが貯まるという。村松氏は、「今後はRポイントカードの提携店舗への楽天Edyカードの発行を強化していきたいです」と意気込みをみせる。現在、ポプラとPRONTO、サークルKサンクスでEdyカードを発行しているが、現金でのポイント利用者よりも楽天Edy利用者の方が来店回数と利用金額が高い傾向が表れている。村松氏は、「Rポイントカードの部隊とは連携した取り組みを強化しています」と話し、微笑む。

また、チャージについては、2015年の重点項目として取り組んでおり、ユーザーが便利に利用してもらえる隠し玉を用意しているそうだ。

ICカードの規格としては、当面はFeliCaの方式を継続していく。その理由として、アライアンス先も複数の電子マネーを合わせて提案しているため、規格は整えたほうがいいという考えからだ。

なお、インターネット決済についてはユーザビリティの面で課題も多いが、楽天市場やAmazonを含めて5万サイトで利用できるため、需要はあると考えている。

今後も楽天とのシナジーを発揮することで、売り上げの拡大を見込む。2015年は新サービスを投入する予定となっており、加盟店も広がるため、まだまだ利用は伸びると感じているそうだ。

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