ジェイティービー

2015年3月26日8:16

カード型旅行券「JTBトラベルギフト」で個人、法人需要を開拓
認知拡大・サービス拡充により若年層の新規顧客開拓にも効果

ジェイティービー(JTB)が2012年6月に業界初のカード型旅行券「JTBトラベルギフト」を発売してから、約2年半。2014年には購入できる商品を拡充し、サービスそのものの認知も進んだことから、個人・法人ともに利用シーンが拡大している。これまでの経緯や今後の計画について話を聞いた。

「ネットで予約・決済」に対応する
サーバ管理型のカード型旅行券

JTBは2012年6月に、業界初のカード型旅行券「JTBトラベルギフト」の販売を開始した。「ネットで予約、ネットで決済」が旅行購入の主流となりつつある中、紙の旅行券の売り上げは年々減少しており、新商品の投入により旅行ギフト市場を再び活性化させたいとの思いがその背景にあった。

JTBトラベルギフトの汎用デザイン

スタート当初は購入できる商品は国内宿泊に限られていたが、2014年5月からは海外パッケージ旅行「ルックJTB」、国内パッケージ旅行「エースJTB」にも対象を広げた。

JTBトラベルギフトはサーバ管理型のカード型旅行券のため、商品券などのように回収は不要。店舗はもとより、電話やWEBサイトからの決済にも対応している。券面にオリジナルの写真やメッセージを入れたカードを作成して贈り、使い終えた後も記念として手元に残してもらうといったことも可能だ。

額面は1万~50万円の間で自由に設定できる。有効期限は原則2年だが、企業が永年勤続表彰に利用することを想定して1年間に設定できる仕組みも導入している。

法人では永年勤続表彰の商品を中心に福利厚生のシーンで幅広く利用されている。また最近は、キャンペーンの景品など、販売促進に利用されるケースが増えているという。

一方、個人では、就職、結婚、還暦祝い、定年退職などライフステージにおけるパーソナルイベントに触れて、両親やお世話になった方へのお礼として活用されているケースが多い。ジェイティービー PLUS事業担当マネージャー 山田浩司氏は、「結婚式での晴れ姿の写真を施したカードをご両親にプレゼントして、感謝の気持ちを伝えるという方も少なくありません」と述べる。

感謝者の気持ちを込めて

個人の場合、JTBトラベルギフトの1件当たりの平均購入金額は約4万円。WEBからの購入が半数以上を占め、特に最近はスマホからの購入が増加しているそうだ。一方、法人では1件当たりの購入金額が数百万円、数千万円に上るケースも珍しくないことから、件数では個人が圧倒的に多いものの、金額ベースでは全体の売り上げに占める比率は個人と法人が約半々となっている。

結婚式の内祝いに

取扱高は15億円(2014年度想定)
“自宅で旅行商品を選び、購入する環境”を提供

JTBトラベルギフトの取扱高は、2014年度の想定で15億円となり、前年同月比約130%で伸長し続けている。しかし、紙のギフト券にはまだまだ及ばないという。山田氏は、「減少傾向にあるとはいえ、重厚さのある紙のギフト券への需要は健在です。いずれカード型ギフト券が紙のギフト券を上回るときがくるのかもしれませんが、紙のギフト券がなくなることはないと見ています」と説明する。

左からジェイティービー PLUS事業部 統括部長 高橋 健一郎氏、PLUS事業担当マネージャー 山田 浩司氏

「紙のギフト券がカード型に置き換わるだけでは、旅行ギフト市場活性化の意味はありません。紙は紙で残しながら、カード型ギフト券で、今までリーチできなかったお客様を開拓できればよいと考えています。JTBトラベルギフトは、店頭に足を運ばれないお客様に、自宅でゆっくりとJTBの旅行商品を選んで購入していただく環境を提供する商品です」(同部統括部長 高橋健一郎氏)

JTBトラベルギフトには有効期限があるため、紙のギフト券と比較すると1年目、2年目の利用率が高い。これまでもっぱらほかの旅行サイトを利用していた若年層が、なんらかのきっかけでJTBトラベルギフトを手にし、せっかくだからとJTBを利用したことによって、JTBのファンになり、今度はギフトを贈る側としてリピートにつながる可能性も高い。

「ファンになってくださるかどうかは旅行商品そのものの魅力や販売店の対応次第ですが、実際に、若年層の新規顧客開拓の効果は徐々に上がってきています」(高橋氏)

オリジナルデザインのカードに使用される写真などから推測して、JTBのこれまでの主要顧客層よりやや若い30代後半から40代の女性が購入し、両親などに贈るケースが多いようだと同社は見ている。

JTBでは今後、広告展開の継続や他企業とのコラボレーションの強化によってJTBトラベルギフトの販路を拡大し、2020年を視野に入れた旅行販売の拡大に向け、普及に一層、力を入れていく考えだ。

関連記事

ページ上部へ戻る