主要なカード決済とセキュリティ対策を一挙紹介(3)
インターネット決済
主要なカード決済とセキュリティ対策を一挙紹介(1)
主要なカード決済とセキュリティ対策を一挙紹介(2)
成長するインターネット決済では導入する手段の見極めが重要
(1)クレジットカード
EC決済を行う加盟店と決済事業者との契約形態には「直接加盟店契約」と「包括加盟店契約」がある。直接加盟店契約はクレジットカード、金融機関、電子マネー、コンビニ決済などに関して、サービス提供者との契約をそれぞれの事業者と個別に行う。売上代金の入金は各事業者から個別に行われる。一方、包括加盟店契約はサービス提供者との契約を決済代行事業者が代行して行う契約形態だ。審査、加盟店契約、決済・入金処理までを一括して決済代行事業者側で行う。例えば、クレジットカードの場合、包括加盟店契約を利用すればVisa、MasterCard、JCB、American Express、Dinersといった国内で利用できるブランドの取り扱いが可能になる。売上代金の入金は契約した決済代行事業者から一括して行われる。
中小のEC加盟店にとって、各事業者と直接契約するのには非常に手間がかかるため、決済代行事業者を利用した包括加盟店契約を採用するケースが多い。最近ではPCI DSS(Payment Card Industry Data Security Standard)を取得している多くの決済代行事業者が、加盟店側でカード会員情報を所有しない「非保持サービス」(画面遷移型)導入を強く推奨している。
開発者向けの決済サービスが成長の兆し
ECサイト運営者がサイト内に数行のコードを埋め込むだけで決済が可能な開発者向けの決済サービスが成長の兆しを見せている。
ヤフーでは2014年4月4日から、「Yahoo!ウォレットFastPay」を開始。決済手数料は3.25%。初期費用、月額費用およびトランザクションフィーは無料となる。2014年8月には定期購入サービスも追加されている。一方、ウェブペイは、ECサイトやウェブサービス、モバイルアプリを対象とした開発者向けクレジットカード決済サービス「WebPay」を提供している。わずか数時間で組み込めるAPI、最短3営業日の審査期間、カード情報を加盟店側で処理・伝送・保存しない決済システムを特長としたサービスとなっている。なお、ウェブペイ・ホールディングスはLINEに買収されている。
また、同分野ではベリトランスもサービスを提供しており、BASEも参入を発表している。
(2)電子マネー
FeliCaカードやFeliCa対応携帯電話を利用し、FeliCaポートが付いたパソコンやFeliCa対応リーダライタにかざすことで、インターネットを通じてバリューを送るインターネット決済である。最近ではFeliCa搭載携帯電話を活用した「楽天Edy」、「iD」などの決済も行われている。ただし、リアルにおけるIC電子マネーと比較し、インターネット分野は苦戦が続いている感は否めない。
(3)ネットワーク電子マネー
運営事業者がインターネットのネットワーク上でバリューを管理する方法。ユーザーは、コンビニエンスストアなどで、ID番号が入力されたカードやシートを購入する。カードやシートには基本的に16桁のID(数字やひらがな)が入力されており、利用者は加盟店のWebサイトでIDを入力することにより、チャージ額を引き落とし、決済に利用する。ウェブマネーの「WebMoney」、ビットキャッシュの「BitCash」、NTTスマートトレードの「ちょコムeマネー」、NTTカードソリューションの「NETCASH」が有名である。
WebMoneyは、ソーシャルゲーム、オンラインゲームなどのPCにおけるデジタルコンテンツを中心に利用されている。また、「WebMoney Card」「WebMoney Card Lite」という2種類のオンラインプリペイドカードが、クレディセゾンとタイアップして発行されている。
ビットキャッシュは、1997年の創業当初から、インターネット決済市場において電子マネー「ビットキャッシュ」を展開。累計加盟店数は8,200件以上、決済流通額は615億円(2013年度実績)となっている。
(4)インターネットバンキング
Webを介した銀行取引のサービスである。モバイルバンキングは携帯電話のインターネット閲覧機能を利用した銀行取引サービス。主なサービスとして振り込み、口座の入出金明細の表示、残高照会などが行える。24時間インターネットで取引ができるため、利用者は窓口へ出向かなくても済む。
(5)Pay-easy
「Pay-easy」は、税金や公共料金、各種料金などの支払いを、金融機関の窓口やコンビニのレジに並ぶことなく、パソコンや携帯電話、ATMから支払うことができるサービス。「Pay-easyマーク」が付いている納付書・請求書の支払いや、支払い方法としてPay-easyが選択できるサイトでの料金の支払いなどに利用できる。
ペイジーは、2014年1月に国庫金・地方公金取扱開始10周年を迎えた。地方公金においては現在21都道府県、47市区町で、ペイジーによる税金等の支払いが可能となっており、今後も多くの地方公共団体での導入が見込まれるという。
(6)代引き
インターネット決済では宅配便の配達時に料金を回収する「代金引換(代引き)」が利用されているケースが多い。決済手数料は、原則的に利用者の負担となる。手数料に関してはインターネット決済の購入金額などにより設定される。宅配業者の中には、配達時に専用のハンディ端末を利用して、クレジット、デビットカードなどの決済を行うケースもある。
(7)コンビニ払い
コンビニ前払いは、コンビニで先に料金を支払い、決済されたことが確認できてから商品やチケットを発送もしくは受け取ることができる。クレジットカードを持てない未成年者やクレジットカードを保持できない層でも利用できる。
最近では、「後払い」によるコンビニ決済の導入企業が増えている。例えば、ネットプロテクションズの「NP後払い」、GMOペイメントサービスの「GMO後払い」、キャッチボールの「後払い.com」、ニッセンの「@払い-ニッセンCOLLECT」といった後払い決済は、利用者が実際に商品を受け取ってから支払いできる点、事業者が立替払いを行うためEC加盟店への入金が保証される点などにより、アパレルなどの物販サイトを中心に導入企業が加速している。また、ジャックスは、後払い決済サービスに信販・カード業界では初めて参入。さらに、ヤマトクレジットファイナンスとヤマトフィナンシャル、佐川急便と佐川フィナンシャルの物流系企業も後払いの提供を行っている。
(8)PayPal
PayPal(ペイパル)は、米国カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、eBayグループのオンライン決済事業会社。加盟店は入会金、申込金、審査料などの初期費用、月額利用料なしでサービスを利用できる。世界203カ国・地域で、1億5,700万以上のアクティブアカウントを有している。利用者は、一度ペイパルアカウントを登録すれば、クレジットカード情報などを入力せずにECサイトなどで決済が可能だ。国内では2010年から本格的な営業を開始。ブランドの認知や採用企業の拡大は順調に進んでいるという。近年では、リアル店舗でPayPal支払いできる「ペイパルチェックイン支払い」にも取り組んでいる。
(9)モール事業者のID決済
モール事業者のID決済サービスとしては、楽天の「楽天ID決済」、ヤフーの「Yahoo!ウォレット」、リクルートホールディングスの「リクルートかんたん支払い」が有名なところ。また、LINEの「LINE Pay」も外部ECサイトでの利用が可能だ。数千万人のユーザーを有しているサイトも多く、その会員をそのまま送客できる。また、クレジットカード等の入力なく、IDとパスワードのみで簡単に支払いが行える点も特徴となる。さらに、「楽天ID決済」は「楽天スーパーポイント」、「Yahoo!ウォレット」は「Tポイント」、「リクルートかんたん支払い」は「リクルートポイント」(2015年冬頃にPontaポイントに切り替え予定)といった汎用性の高いポイントが付与されるメリットも魅力となっている。
(10)キャリア決済
携帯電話のキャリア(通信事業者)が提供するサービスで、契約ユーザーが利用したサービスや商品を通信料金と合算して回収する方法。ユーザーはパスワードで支払うことができるので、クレジットカード番号などは必要ない。
また携帯電話上で利用履歴が確認できるメリットがある。NTTドコモが「ドコモ ケータイ払い」、KDDIが「auかんたん決済」、ソフトバンクモバイルが「ソフトバンクまとめて支払い」の提供を行っている。近年、スマートフォンの普及などにより、デジタルコンテンツに加え、物販での利用も伸びているそうだ。
初期費用・月額・決済手数料が無料で利用可能な「SPIKE」
最短1分、専門知識不要でリンクを設置するだけで利用できるオンライン販売・決済サービス「SPIKE」の利用企業が拡大している。ECサイトに数行のコードを実装するだけで、カード決済が導入できるAPIも提供しており、中~大規模EC サイトにも対応しているという。
2014年12月には開始から8カ月で5万件を突破したと発表されている。現在、①初期費用・月額・決済手数料が無料で、月間決済額100万円まで利用可 能な「フリープラン」と、②月額3,000円で月間1,000万円までは決済手数料0%(超過分は2.5%+30円)で利用できるビジネスプレミアムの2つのプランを用意している。