肥銀コンピュータサービス

2016年3月29日8:40

熊本の地域振興のためバス・電車や買い物で利用できるICカードが登場
さらに利便性を追求し、全国相互利用のIC乗車券の片利用もスタート

2015年4月、熊本県内に本社を置く産交バスグループ、熊本電気鉄道、熊本バス、熊本都市バスの路線バスと電車、加盟店の買い物で利用できる熊本地域振興ICカード「くまモンのIC CARD」のサービスが開始された。同8月には市電の片利用もスタート。さらに、2016年3月には、Suica、PASMOなど全国相互利用カードの片利用が開始された。

独自の決済音、ポイント付与で
地域で使えるICカードを目指す

従来、九州産交バス、産交バス、熊本電気鉄道、熊本バス、熊本都市バスと市電では、磁気式プリペイドカード「TO熊(ツーユー)カード」を発行していたが、読取機の更新にあたり、より一層導入・維持コストが安価で、地域活性化に役立つサービスの付与を模索。しかし、市電は独自に2014年3月に西日本鉄道などで展開されている交通系ICカードnimocaを採用した「でんでんnimoca」を導入。そこで、バス会社5社と肥後銀行のグループ会社・肥銀コンピュータサービスでTO熊カードの後継カードとして、ソニーのFeliCaを用いた非接触型IC乗車カード「くまモンのIC CARD」が導入された。カードの発行とシステム運営を肥銀コンピュータサービスが担う。

くまモンのIC CARDは記名式と無記名式の2種。一般乗車券のほか定期券、学生カード、シルバーパスがある。販売額はデポジット500円を加えた2,000円(シルバーパスは定期額+デポジット+チャージ金額)で、チャージ限度額は3万円。バス会社5社の販売窓口のほか無記名式はバス・菊電車内でも購入できる。バス・電車の運賃はもちろん、加盟店の買い物で電子マネーとしての利用も可能。いすれもカードリーダにかざして決済するが、決済音がユニークなのも特長だ。OKの場合「く~まモ~ン♪」、読取エラーや残高不足の場合「だモンだモン♪」という軽快な声で教えてくれる。

「交通だけでなく商業利用も可能とすることで、熊本全域で使える、地域活性化を目指して導入しました。2016年2月現在、熊本市内屈指の繁華街、下通・上通アーケードにある商店や産交バスグループの商業施設など90店を超える加盟店を確保し、のぼりやステッカー、ポップなどを掲示して買い物でも使えることをアピールしています」(肥銀コンピュータサービス カード事業部 企画推進課 課長代理 髙永洋志氏)

▲肥銀コンピュータサービス カード事業部 企画推進課 課長代理 髙永洋志氏

さらに、くまモンのIC CARDでは、ポイントを付与。100円につき1ポイント(学生カードは交通系利用時のみ2ポイント)が付くほか、交通系利用の場合、1カ月の利用金額合計が2,000円以上4,000円未満なら50ポイント、4,000円以上6,000円未満は100ポイントというように、利用金額に応じてボーナスポイントが付与され、1ポイント1円で利用できる。

▲「くまモンのIC CARD」。交通乗車に加え、加盟店にて電子マネーとしても利用できる

「くまモンのICカードのポイントは、交通系と商業系利用時に付与し、貯まったポイントを交通系と商業系の両方で利用できる共通ポイントです。2015年12月に買い物で利用していただくとポイント5倍のキャンペーンをしたところ商業系での利用が増えましたので、少しずつ認知がされてきているようです」(髙永氏)

市電にさくらカード(おでかけ乗車券)、全国型IC乗車券も利用可能
発行枚数20万枚を目指す

熊本県下にはJR九州、熊本電気鉄道、熊本市電などの鉄道が走っているが、エリアも運行本数も限られており、県民の足として活躍しているのが路線バスである。また、TO熊カードの販売が2015年8月で終了(利用終了は2016年3月)。同月には定期券、熊本電気鉄道が販売しているシニアパス60のサービスが提供され、熊本市電での片利用もスタート。これにより発行枚数が4万枚にまで急伸。初年度発行枚数を5万枚に設定していたが、現在発行枚数は6万7,000枚になっている。交通系の利用をみると1日のタッチ回数は約4万回。熊本市では在住の満70歳以上の高齢者、障がい者、被爆者にさくらカードを発行しており、2016年3月には、さくらカード(おでかけ乗車券)がくまモンのIC CARDに切り替えられる。

「対象者が約8万人おられるので、さらに利用者の拡大を見込んでいます。2年後には15万、3年後には20万枚を発行目標にしています。また現在、熊本交通センターと下通ダイエー跡地の再開発が進んでおり、2018年には商業施設やホテルなどがオープンする予定です。加盟店も将来的には500~1,000店くらいを目指したいと思います」(髙永氏)

さらに2016年3月には全国相互利用カードの片利用が開始。利用可能となるIC乗車券はSUGOCA、nimoca、はやかけんなど全10種。利便性をより向上させるとともに、県外からの観光客の加入・利用も促したい考えだ。 なお、全国相互利用カードに対応するためのシステム改修費は約8億6,400万円。県と熊本市が約2億5,100万円ずつ、国が約1億5,700万円を負担した。

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