渋谷区幡ヶ谷、西原、笹塚地域の商店街の「ささはたポイント」

2016年3月24日8:00

システム刷新によりクレジットカード決済の無線化を実現

渋谷区幡ヶ谷・西原・笹塚地域の10商店街の活性化を目的としてスタートしたポイントカードシステム「ささはたポイント」。商店街振興組合の「幡ヶ谷・西原・笹塚 新ささはたポイント事業委員会」と、「ささはたポイント」加盟店が提供している。2015年12月、加盟や代金決済にかかる店舗負担分のコストダウンを図るべく、決済システムや料金体系を一新し、より導入しやすい形へと生まれ変わった。

手持ちの「PASMO」「Suica」がポイントカードに
タブレット端末採用でコンパクトにワイヤレス環境整備

ポイントサービス「ささはたポイント」が産声を上げたのは2008年。会員登録を行えば、交通系IC「PASMO」「Suica」がポイントカードに兼用できるシステムとして誕生した。入会金・年会費は無料で、チャージした電子マネーでの支払いも可能。買い物100円につき1ポイントがもらえ、貯めたポイントは1ポイント=1円として加盟店で使える。

商店街の一層の活性化はもとより、端末のメンテナンスが効かなくなり刷新したいとの要望も出たため、リニューアルの運びとなった。運営会社として、同商店街公式サイト「ささはたドッとこむ」を手がけるBITZに白羽の矢が立った。

「もともとシステム構築は得意分野ですが、クレジットと電子マネーの決済が環境的に整えられるかが高いハードルでした。半年ほど検討し、一定ラインのものは揃えられるだろうということで始めさせていただきました」(BITZ 代表取締役 森田正孝氏)

▲右からBITZ 代表取締役 森田正孝氏、稲垣智弘氏

旧来のポイント端末はISDN専用だったが、今回はタブレット端末と小型プリンタでの省スペースのワイヤレス通信環境を整備。Wi-Fiを利用した決済端末の開発は、ビデオ・オン・デマンド(VOD)サービスの提供で知られるブリッジ・モーション・トゥモローが担当し、BITZ社と組んで導入まで携わった。

ポイント残高管理システムは同社が構築。加盟店には高齢の経営者も多く、操作性などを充分に考慮のうえシンプルな形とした。旧端末がボタンで押すタイプだったため、タッチパネルへの抵抗感が不安材料ではあったが、「旧端末よりオペレーション回数を減らしました。今はスマートフォンを使っている方も多いので、そんなに変わらないよね、という声もありました」と、同社 稲垣智弘氏は安堵の表情をみせる。

加盟店は1ポイント1円の原資負担で持続可能な形へ
タブレット決済導入で端末一台に多機能集約

端末は商店街振興組合から加盟店に月額2,500円で貸与する。また、加盟店がポイントを発行する際に、今までは1ポイントあたり2円負担していたが、リニューアル後は1円の等価負担とし、ランニングコストも極力抑えられる仕組みを目指した。「ポイントがいかにうまく回っていくかが本質ですので、このような形とさせていただきました」(森田氏)

クレジットカード決済には、従来からのユーシーカードの据え置き端末に加え、タブレット決済サービスを採用し、タブレット端末に集約できる形とした。同サービスは、入金口座が特定金融機関に依存しないのも利点だったそうだ。また、電子マネー決済はクラウド型のサービスを導入し、決済スピード高速化を実現した。

▲タブレット端末による決済、電子マネー決済はクラウド型のサービスを導入

会員にとってポイント付与や決済の仕組みは基本的に変わらないものの、100ポイントから使用可能だった累積ポイントが、リニューアル以降は1ポイントから使えるようになった。毎月第4土曜はポイント3倍といった顧客サービスも継続して行う。利便性の高さと手軽さから、会員数は現在約1万名を誇る。同地域は京王線や小田急線の沿線のため「PASMOの利用がやはり多い」(稲垣氏)という。

一方の加盟店数は、2008年の「ささはたポイント」開始時には約70だったが、リニューアル直前には約30にまで減少していた。しかし、現在は100店舗の加盟申し込みをもらっているそうだ。

端末とインターネット環境が地域で共通だからこそ、類似のニーズを充たせる新サービスの追加も容易だ。一例として、各店で販促に利用している紙のスタンプカードの機能を、ポイントアプリに搭載するなどの新しいモデルも検討している。会員がより便利に使える機能があれば、随時付加していく予定だという。

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