- 2018-9-30
- 3章
2016年4月5日8:30
グループ共通ポイントカードにブランドプリペイドを付加した「EPiCA」
多業種を擁する鉄道会社グループでの導入は全国初
静岡県浜松市に拠点を置く遠州鉄道(遠鉄)は、鉄道やバスなどの運輸事業から出発し、現在は百貨店やスーパーチェーン、レジャーサービス、不動産など、幅広い分野で地域に根差した事業を展開している。2015年11月、グループ共通のポイントカードにVisaのプリペイド機能を付加した「EPiCA(エピカ)」を導入。食品スーパーや百貨店などを含めた鉄道会社グループとしてのブランドプリペイド投入は全国初となる。
ポイントカード「えんてつカード」のさらなる利便性向上へ
ポイント専用カードを終了し、プリペイド一体型へシフト
遠鉄グループでは2008年9月、それまでグループ内数社で個々に発行していたポイントカード等を統合し、各店で貯めたポイントを1枚に集約できる共通ポイントカード「えんてつカード」を開始。同グループのスーパーチェーン、遠鉄ストアの主要顧客となる中高年層はクレジットカードに抵抗感が強いこと等も鑑み、<ポイント専用カード>と<ポイント&クレジットカード>の2種を展開してきた。
今回、顧客の利便性をさらに高めるべく登場したのが<ポイント&プリペイドカード>「EPiCA」だ。従来のポイント機能にプリペイド機能をプラスしたもので、プリペイド機能はグループ各店に加え、グループ外の国内Visa加盟店で利用可能だ。「さまざまな選択肢を検討するなかで、静銀セゾンカード様からご提案いただいた、初期費用も抑えられるブランドプリペイドカード導入に至りました」(遠州鉄道 営業推進部 営業推進課長 石田博久氏)。既存インフラを活用し、磁気カードでの運用開始となった。
先行して、2015年11月より、遠鉄ストア県外初出店となる愛知県の豊川店で開店と同時に発行を始めた。「もともと『えんてつカード』をお持ちでないお客様が多いので、発行のペースがとても速かったです」と石田氏は語る。2016年1月からは、遠鉄グループのメインテリトリーとなる静岡県西部の各社・各拠点でも、新規会員募集と、既存の<ポイント専用カード>からの切り替え促進を行っている。
これに伴い、ポイント専用カードの新規発行は終了。現在発行している「えんてつカード」は、このプリペイド一体型と、従来からのクレジット一体型の2種となった。あくまでポイントサービスが基盤にあり、アドオンする機能としてクレジットとプリペイドのいずれかを顧客に選択してもらうスタイルだ。
「EPiCA」払いは現金払い同様にポイントが貯まる
顧客へのフォローとマーケティングに効果的に活用
「EPiCA」の入会金・年会費は無料。チャージすればグループ各社および国内Visa加盟店で利用でき、現金払い同様にポイントが貯まる。同グループのタクシーやガソリンスタンド、バス・電車車内では「EPiCA」払いはできないが、ポイントを貯めることは可能だ。
チャージ拠点も多く、「遠鉄ストア各店ではレジでできます。残高照会ができるポイントターミナルも設置しています。また、鉄道有人駅やバス営業所をはじめグループ各所でも端末でチャージできます」と同部 山本知世氏は説明する。チャージにポイントはつかないものの、一定額の入金で金額が上乗せされるキャンペーンなども随時行っていくという。なお、同カードでのポイント有効期限は最終の獲得または利用から1年となっている。
120万人ともいう同社商圏において、2015年現在でカード総会員数は50万人超。地元での地位も盤石にみえるが、大手企業の地方出店の的となりやすい中核都市で、郊外型SCなど競合も多い。そのため、いたずらに枚数を伸ばすのではなく“1人1枚”の保有を原則とし、利用状況の的確な把握によりフォローの質を上げ、ロイヤリティ向上につなげたい考えだ。
「2015年11月にマイクロソフト社のSQL Serverを導入し、Excelや統計解析ソフトから最新のカード利用データを直接扱えるよう環境を整えました。個々のお客様に応じたOne to Oneのコミュニケーションをこれまで以上に強化して参ります」(同部 主任 藤井直氏)
現在のところ大きなトラブルなく順調に切り替えが進んでいるという。同社では、切り替えも含め、カード発行1年後に14万人、5年後 に20万人の会員目標を掲げる。山本氏は「まずはプリペイドカードのホルダー3割を目標にしています。そして次は『EPiCA』払いを3割にと、少しずつクリアしていければと思っています」と笑顔で展望を語ってくれた。