キタムラ

2016年4月21日8:40

専門店ならではのサービスでオムニチャネルを実践
EC・店舗連動の「人間力EC」通じ顧客満足度向上へ

主力商品のカメラをはじめさまざまなタイプの直営店約1,300店舗を有するキタムラは、EC事業をこれら店舗と連動させることで年間430億円のEC関与売上高を生み出している。EC経由後の店舗受け取り比率がEC全体の約7割を占めるなど、まさに全社を挙げてオムニチャネルの実践に取り組む。成功への秘訣は顧客満足度向上への施策で、店舗に誘導した顧客への接客サービス強化や自社スマホアプリの導入により、“店舗がECを道具として活用する”という「人間力EC」を基盤として掲げる。

EC事業関与売上高は全社売上高の3分の1まで拡大
ネットで注文後7割以上が店舗で商品受け取り

キタムラは「カメラのキタムラ」や写真館の「スタジオマリオ」、Apple製品の修理サービスを行う「Apple正規サービスプロバイダ」など、全国に約1,300店の直営店舗を構える。EC事業は2012年の事業統合、翌年のシステム統合を経て、価格競争ではなくサービス・利益重視の路線を推進。キタムラ 執行役員 経営企画 オムニチャネル推進担当 逸見光次郎氏は、「ECと店舗を連動させたオムニチャネルを『人間力EC』として位置付け、自社ならではの専門性をフックに顧客満足度向上を目指しています」と説明する。

▲キタムラ 執行役員 経営企画 オムニチャネル推進担当 逸見光次郎氏

2014年度におけるキタムラのEC事業関与売上高は430億円で、全社売上高のおよそ3分の1にまで伸張した。ネット会員数は680万人となる。注目すべきはECで購入後の受け取り手段比率で、宅配が119億円、店舗が311億円と店舗が72%を占める。さらに8割の顧客がお気に入り店舗を登録しており、ECを“道具”に見立てて活用することで店舗への送客を果たす。ECで購入後に「宅配」または「店舗」で受け取る方法以外に、店頭タブレットを通じた注文も導入している。

2014年度キタムラ全体では売上高が伸びたものの、営業利益は減少した。主な要因は粗利率が6~7割と高いプリント系商品・サービスが苦戦したためで、改めてネット経由による店舗への誘導や接客を強化していく考えだ。有望視するのはスマホアプリの活用で、EC経由でのプリント写真は9割が店舗受け取りということもあり、店舗ではアプリ活用やネット会員登録を積極的に勧めている。その販促ツールとして、スマホプリントアプリの操作手順を説明する紙の販促物を来店客に提供。プリントしたい写真をあらかじめスマホアプリを使い自宅などで注文しておけば、店頭で時間をかけて選んだり待つこともなく宅配や店舗受け取りができる仕組みだ。

専門店ならではのコンテンツマーケティングを実践
決済では割賦販売の比率も高い

オムニチャネルを実践するための基盤として意識しているのがコンテンツマーケティングだ。たとえば集客施策として、各店舗は一日に何本もの店舗ブログを書いて新規顧客の開拓を図る。2014年は年間で157万件がアップされ、のべ6,700万人が閲覧した。このブログ作成研修を手がけるのがWEB販促チームで、よりSEOにかかりやすいワードや、ユーザーに分かりやすい表現などをレクチャーする。新製品情報などの元ネタを発信したり、モチベーションアップに向けて店舗ごとの閲覧数を開示するなどのサポートも行う。

店頭タブレットを積極的に利用することで、接客力にも効果が出ている。商品画像や価格、スペックなどの詳細を画面で案内できるため、スムーズな商談や顧客満足度の向上、スタッフの負担軽減につながる。

さらに、オムニチャネルの一環として活用されているのがコールセンターだ。スマホで商品詳細の画面を見るとワンタッチで電話できるボタンがあり、自社コールセンターにつながる。応対スタッフはカメラの専門知識が高い店舗経験者らで、顧客の相談にのりながら受注につなげる。さらに顧客の声を情報化・数値化し、社内に改善提案も行うプロフィットセンターとしての役割も持つ。

決済手法ではクレジットカードの利用度が高いが、カメラは高額なことから割賦販売も人気がある。店舗のタブレットにも割賦販売のシステムを導入し、手数料の高さからクレジットカードの分割決済を敬遠する人などに利用されている。店舗受け取りの場合は先払い決済を使わず店頭決済のみで対応。多くの顧客はカメラを購入する際に、スタッフの勧めでバッテリーや液晶フィルムといった関連商品も買うのでクロスセルが発生しやすく、先払いに比べて店頭決済の方が便利という。換金性が高い商品ということもあり、後払い決済はまだ導入していない。

今後は、TポイントとYahoo! JAPAN IDとの連携により1年前に連携したYahoo! JAPAN IDとキタムラネット会員の結び付きも強化する。店舗では積極的に声掛けをしているため、店頭のTポイント利用率は平均7割を超えるなどカード保有者は多いはずだが、ネット会員IDにおけるTカード登録はまだ1割強程度と少ない。ネット上でポイントの利用も獲得もできるというID登録のメリットを顧客に伝えることで、利用の拡大を図っていく。

 

関連記事

ページ上部へ戻る