日本クレジットカード協会

2016年3月28日8:00

カード加盟店の訪日外国人対応に多言語支援ツール「指差しシート」を作成
12言語対応で、ビジット・ジャパンの重点20市場をカバー

日本クレジットカード協会(JCCA)では、昨年度、同協会で作成したカード決済時の多言語支援ツール「指差しシート(英語・中国繁体語・中国簡体語・韓国語)」を作成したが、今年度は新たにタイ語・インドネシア語・ベトナム語・ロシア語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・スペイン語の8言語を追加した。同シート作成の狙いについて、JCCAに話を聞いた。

「指差しシート」で店頭での決済をサポート
加盟店がWebからダウンロード可能に

JCCAでは、昨年度、観光立国実現に向けて取り組む中で、現状の日本のクレジット決済環境を訪日外国人はどう感じているのかを調査した。その中の1つの課題として、クレジットカード決済時の多言語対応による説明が挙がった。

「昨年度の調査の中で、訪日外国人旅行者約1,000名にウェブアンケートを実施しましたが、日本のカード利用環境に関して改善すべき点の上位に、加盟店での言語対応が挙げられました。そのため、店頭での決済をサポートするツールとして『指差しシート(英語・中国繁体語・中国簡体語・韓国語)』を作成し、加盟店でのクレジットカード利用機会の逸失を避けるために取り組みました」(日本クレジットカード協会 事務局 調査役 柳瀬陽介氏)

▲日本クレジットカード協会 事務局 調査役 柳瀬陽介氏

JCCAでは、協会員である全国のクレジットカード会社118社に指差しシートの現物を各100部ずつ配布した。アクワイアラ(加盟店開拓や管理を行う会社)は、加盟店に対し、任意で指差しシートを配布したり、案内を行っている。2015年8月に88社からアンケートの回答を得たところ、良かった点として、“4言語に対応している”、“加盟店で作成する手間が省ける”の2点が多かった。一方で、改善してほしい点としては、“4言語では足りない”、“カード決済に特化した内容だったため、それ以外のフレーズも欲しい”という要望を受けた。

そのため、今年度は、新たに8言語を追加。柳瀬氏は、「昨年度と今年度の対応により、ビジットジャパン(訪日旅行促進事業)の重点20市場を網羅することができました」と口にする。指差しシートは、JCCAのサイトから加盟店が自由にダウンロード可能だ。

▲クレジットカード加盟店向け指差しシート(多言語対応支援ツール)[タイ語・インドネシア語・ベトナム語・ロシア語版]

また、“決済以外のフレーズも欲しい”という要望に対しては、クレジットカード会社が指差しシートを配布した業種は飲食店が多かったため、東京都で作成した多言語メニュー作成支援ウェブサイト「EAT東京」にて飲食店を対象とした12言語対応の指差し会話シートを公開していたことから、2015年12月に相互リンクを行っている。

今後の取り組みとして、関係団体等との連携による指差しシートの展開や、ICTの活用も見据えていきたいとしている。

加盟店での利用可能表示および
利用環境の認知も重要

また、JCCAでは、今年度、指差しシート作成に加え、加盟店での利用可能表示および利用環境の認知に関する取り組みを実施した。JCCAでは、年間約1,891万人の観光客が訪れる浅草において、訪日外国人の誘致に積極的に取り組む浅草商店連合会の協力を得て、クレジットカード利用動向に関する調査を実施。浅草・仲見世商店街では、外国人観光客を受け入れたい意向の店舗が9割を超え、店舗の8割がアクセプタンスマークを表示している。一方で、Visaの調査によると、東京・京都・那覇の飲食店でアクセプタンスマークを表示している店舗は3割弱となっているように、日本全体でみるとまだまだ低い数字となっている。

前述の浅草・仲見世商店街では、クレジットカード支払いによる購買金額は、現金支払と比べ1.6倍となった。また、業種別(取扱商品)では「食べ物」が3.3倍と、購買金額の差が最も大きかった。本調査結果より、インバウンド消費等の取り込みには決済環境の整備が重要な要素であることを再認識した。

さらに、“日本はカードが使えない”イメージが外国人に強く残っている。ただ、年々、クレジットカード利用加盟店は拡大しているため、実態に合った情報発信ができないか考えているそうだ。

なお、JCCAはCAT共同利用システムの事務局となっているが、現在、約168万台のCCT(Credit Center Terminal)端末が加盟店に設置されている。また、そのうち118万台がIC対応となっている。

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