阪急阪神第一ホテルグループ

2017年3月28日8:40

マルチ決済サービス導入で国内外の宿泊者の利便性向上を図る
DCCはタブレット端末への表示により視認性が高まる

直営18ホテル、フランチャイズを含めグループ計46ホテルを展開している阪急阪神第一ホテルグループは、2016年4月21日より順次、訪日外国人向け決済サービスとして、外貨建てカード決済サービス(DCC:ダイナミック・カレンシー・コンバージョン)、韓国最大のカード会社「新韓(シンハン)カード」が発行するハウスカード「新韓カード」、Visaの「Visa payWave」、Mastercardの「Mastercard Contactless(旧PayPass)」の取り扱いを行っている。また、交通系電子マネー、「楽天Edy」、「WAON」、「nanaco」といった国内で普及している電子マネーにも対応している。

新韓カードはアクセプタンスマークでの告知を強化
NFC決済は海外でのApple Pay等の利用者拡大を見据える

阪急阪神第一ホテルグループでは、国内外からの宿泊者の利便性向上を図るため、クレジットカードに加え、2010年から銀聯、ポストペイ電子マネー「iD」、交通乗車券や買い物に利用できる関西の多機能ICサービス「PiTaPa」を導入している。それに加え、三井住友カードと九州カードの協力を得て、新たな決済サービスに順次対応している。

左から阪急阪神ホテルズ 広域事業本部 営業推進部 CRM推進課長 平島圭氏、 同事業部 営業企画 チーフ 山野敬太氏、広域事業本部 営業推進部 IT推進 チーフ 田中圭氏

直営ホテルでは、昨今の訪日外国人観光客の増加に伴い、2015年(1~12月)に宿泊した外国人客数は前年対比約1.5倍になった。また、宿泊率は、地域によって異なるが、大阪は中国や台湾など、東アジアからの旅行者が多く、直営ホテル全体で平均しても約40%まで比率が高まっている。阪急阪神ホテルズ 広域事業本部 営業推進部 CRM推進課長 平島圭氏は、「たとえば、銀聯決済は、年々浸透が進み、取扱額は倍々で増えており、多くの人が利用していただいている実感があります」と話す。

訪日外国人旅行者などが外貨建てで決済できるDCCの利用率をみると、「先行して導入した新橋の第一ホテル東京では、自国通貨を選択される方は2割強となっています」と同事業部 営業企画 チーフ 山野敬太氏は説明する。平島氏は、「これまで“外貨建て”か“円”かをわかりやすく外国の方に知っていただくのはオペレーション上難しかったことから、グローバルブルージャパンの協力を得て、iPadで表示させる仕組みを2017年1月から一部のホテルで導入しました。これにより、DCCの利用は高まると期待しています」と語る。

グローバルブルージャパンの協力によりiPadで表示させる仕組みを一部店舗で導入

グローバルブルージャパンの協力によりiPadで表示させる仕組みを一部店舗で導入
さらに、九州カードを通じて、韓国で最も多くの人が利用する新韓カードを導入しているが、「韓国からのお客様は宿泊客の中で一定のボリュームを占めており、表示を強化することで、韓国からお越しの方に便利にお使いいただきたいです」と山野氏は口にする。

Visa payWaveとMastercard Contactlessについては、海外でのApple Payといった非接触モバイルペイメントの普及、2020年の東京五輪に向けて、今後の国内での浸透を見据えての導入となった。

電子マネーに関しては、レストラン、喫茶、売店などで便利に利用してもらいたいとしている。平島氏は、「交通系電子マネーは、関東での利用が目立ちます」と話す。

Sポイントの外国人向けの案内も用意
中国人向けのモバイル決済の導入を検討

なお、阪急阪神第一ホテルグループでは、阪急阪神グループのポイントサービス刷新を受け、共通ポイントサービス「Sポイント」を2016年4月21日から導入している。Sポイントは、直営店に加え、チェーンホテルでも使用可能だ。同社では、従来から会員サービスの一環として独自のポイントサービスを提供していたが、ショッピングセンターなどのさまざまなグループの店舗、将来的には大手コンビニエンスストアのセブン-イレブンの関西の店舗など、外部の店舗などからの相互送客が可能となる予定。阪急阪神第一ホテルグループでは、日本人の利用者に加え、外国人旅行者などにもSポイントを便利に利用してもらうため、多言語対応の準備を進めている。

マルチ決済に対応するとともに、阪急阪神グループの共通ポイントサービス「Sポイント」を導入

阪急阪神第一ホテルグループでは今後も、決済手段の充実を含め、訪日外国人客をはじめ国内外の利用者に対し、より利便性の高いサービスを提供していく方針だ。現在は決済手段の拡充として、「中国で多く利用されているモバイル決済への対応を検討しています」と、広域事業本部 営業推進部 IT推進 チーフ 田中圭氏は構想を口にする。その際は、iPad等のタブレット端末を読み取り端末に使用する運用を想定しているという。

また、直営店に加え、フランチャイズにもマルチ決済の導入を進めていく。その際に導入される決済手段については、地域特性などを踏まえ、地域のオーナーに選択してもらう予定となっている。

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