飛騨信用組合

2018年3月13日8:15

電子地域通貨「さるぼぼコイン」で地域経済活性化とキャッシュレス化を推進
通貨の域内流通を促進し、飛騨が最先端のキャッシュレスエリアになることを目指す

飛騨信用組合(ひだしん)では、2017年12月4日から、電子地域通貨「さるぼぼコイン」をスタートした。同サービスは岐阜県高山市、飛騨市、白川村の地域限定で利用できるサーバ管理型の地域通貨となる。すでに約3,000人の利用者、400を超える店舗が加盟しており、地域に根ざした通貨として着実に実績を積み重ねている。

店舗の負担が少ないシステムを考慮
手数料は1.5%、加盟店送金が0.5%

さるぼぼコインの利用者は、スマートフォンアプリをダウンロードしてサービスを利用できる。また、チャージはひだしんの窓口で、10万円まで可能だ。2018年3月からは普通預金口座との連携を開始し、口座利用者のチャージ額を200万円まで引き上げる。さらに、「2018年下期には、クレジットチャージの開始も視野に入れています」と、飛騨信用組合 ブランド戦略部 部長 水口昌己氏は話す。

右から飛騨信用組合 常務理事 経営企画部長 山腰和重氏とブランド戦略部 部長 水口昌己氏

水口氏は、「高山地域でクレジット決済が普及してこなかったのはクレジットカードの手数料負担が大きかったことが理由にありました。そのため、導入に向けては、店舗の負担が少ないシステムを最大限に考えました」と説明する。

加盟店の現金への換金手数料は1.5%とクレジットカード等に比べ負担を抑えることができる。また、店舗では、端末の設置も必要なく、ひだしんが無料で作成したPOPを掲示するだけでシステムを導入可能だ。店舗にとっては、翌営業日にひだしんの口座に入金可能な点も喜ばれている。また、加盟店間の送金の手数料は0.5%となっている。

加盟店、利用者は順調に増加
観光客への対応も視野に

すでに1月末までの取扱額は7,000万円となり、加盟店数は400を突破。3月末までに500店舗の突破も見えてきた。域内の飲食店や小売業、ホテル、ガソリンスタンド、タクシー会社など、生活に密着した加盟店構成となっている。また、高山まちなか屋台村「でこなる横丁」なども加盟した。

店舗では、レジの二次元コードを読み取り、金額を入力。それを店員が確認すると、利用者はスマホのボタンをスライドして決済が行われる

通常、さるぼぼコインでは1%のチャージポイントが付与されるが、2018年3月末まで2%のポイント付与を実施。また、スキー場でリフト券を3割引するなどのキャンペーンを行った。さらに、同期間は加盟店の換金および送金手数料を無料にしたことで、加盟店のモチベーションも高まった。ひだしんでは、初動として手応えを感じており、この流れを加速させたい考えだ。

さるぼぼコインを利用する年代も若年層だけではなく、主婦や高齢者なども幅広く利用している。スマートフォン限定のサービスということもあり、未保有者は利用できないが、「技術的にはさまざまな方法が考えられましたが、イニシャルコストはゼロで、決済手数料はクレジットカードの約3分の1の仕組みという、当地での加盟店の課題を解決できる仕組みにこだわりました」と飛騨信用組合 常務理事 経営企画部長 山腰和重氏は強調する。

高山に年間450万人が訪れるという観光客への対応も視野に入れる。クレジットカードチャージに加え、高山市本町にチャージ機を置く予定だ。ひだしんでは、2019年3月をめどにアプリの外国語対応を予定している。

今後は、連携するアイリッジの協力を得て、GPSと連動したプッシュ配信も行っていく方針だ。さらに、割り勘機能を追加して欲しいという要望もあるため、いち早く実現していく予定だ。将来的には、地域で浸透するコインの位置づけを崩さずに、他の地域と緩やかな連携ができれば面白いと考えている。

1万人の利用者、1,000加盟店を目指す
飛騨に革命を起こす通貨になり得る

なお、ひだしんでは、さるぼぼコインにブロックチェーン技術を活用した実証実験を行ったが、「具体的に運用するのは時期尚早」(山腰氏)とした。

当面の目標は500加盟店だったが、早くも射程圏内に入ってきた。すでに、これまでひだしんと関わりのなかった店舗が趣旨に賛同し、さるぼぼコインの加盟店になるケースも出てきている。今後は目標を上方修正し、1万人の利用者、1,000加盟店を目指し、取り扱い規模も10億、20億と高めていきたいとした。山腰氏は、「“飛騨に革命を起こすかもしれない!?”というキャッチコピーは半分本気です。さるぼぼコインが想定しているような動きで加速をしていければ、飛騨が日本で最先端のキャッシュレスエリアになることができると思っており、域内の消費も活性化できると期待しています」と意気込みを見せる。

なお、2019年9月に開催を予定している地域通貨の世界フォーラムは高山での開催が決定。これまでは大規模な都市での開催が続いていたが、さるぼぼコインおよび、特定非営利活動法人活エネルギーアカデミーが展開するエネルギーポイント「Enepo」と、旧来型の地域通貨と新しい通貨が機能している地域として注目されそうだ。山腰氏は、「将来的には、さるぼぼコインのモデルが、地域活性化モデルとして、さまざまな地域で展開されればいいですね」と語り、笑顔を見せた。

関連記事

ページ上部へ戻る