2018年5月1日8:00
「餃子サークル」でスマホを活用した事前注文・決済を展開
来店時に自動でスタンプ提供、100万のアプリ会員獲得目指す
餃子専門店「大阪王将」を展開するイートアンドは、2017年7月に始めたスマホアプリ「餃子サークル」を運用し集客アップにつなげている。来店時に自動的にスタンプが貯まりクーポン券と交換できるお得な機能に加え、同11月には事前にアプリ経由で注文・決済が可能な「テイクアウトオーダー機能」や知り合いにクーポンをプレゼントできる「おごり機能」も導入している。
来店時にBeacon検知でスタンプ獲得
ガチャゲームや飲食料金支払いに利用可能
大阪王将の「餃子サークル」は、アプリをダウンロードしたスマートフォンが店内に置いたBeaconで検知されると(Bluetoothオン時に限る)、プッシュ通知を通じてアプリが起動し1スタンプを獲得できる仕組みだ。Beaconに加え、位置情報機能も使ってサポートしている。利用者は、10スタンプ集めると、各種クーポン券が当たるガチャゲームにチャレンジできる。当たったクーポン券はアプリ内のクーポンBOXに保存し、店内の飲食料金の支払いに使える。
これまでも既存専用アプリ「GYOZA STATION」でポイントサービスを手がけてきたが、「餃子サークル」開始後は一本化し、引き継ぎの手続きを行うことでポイント移行が可能となった。いずれも国内で361店舗を展開する大阪王将の“ファン”を増やしていくことが目的だが、「餃子サークル」により多くの新機能を盛り込んだことでさらに新規顧客開拓とリピート化を狙っている。「餃子サークル」は、店内のテーブルポップで告知したり、クーポンを獲得できる登録キャンペーンなどを実施している。
アプリにはそのほか店舗や商品検索、ネット通販のお取り寄せといった機能を搭載。新商品やキャンペーンなどの情報もいち早く提供している。
便利な注文・決済機能も導入
2割を占める持ち帰り客に訴求
「餃子サークル」のリリース4カ月後に追加したのが、アプリ経由で事前に注文しクレジットカードで決済する「テイクアウトオーダー機能」と「おごり機能」だ。「全体で2割を占めるテイクアウトオーダーは都内を中心に増えており、事前注文サービスは人手不足傾向が強い飲食店業界では自然な流れ」であると、イートアンド 外食第一営業本部 王将東日本営業部 ゼネラルマネジャー 西田晃氏は話す。受け取りの30分前までにアプリからテイクアウトする店舗と注文する商品を選び、受け取り時間を指定することができる。あらかじめ用意された商品を受け取るだけなので、待ち時間の大幅な短縮につながる。まずは検証を目的に東京、神奈川、大阪の店舗でスタートした。
「おごり機能」は知り合いなどにクーポンをプレゼントできるサービスで、相手の会員IDやニックネームの入力または過去の履歴からの選択で可能となる。これら2種類の機能を利用するには、アプリのダウンロードだけでなく個人情報を入力する本会員登録が必要となる。
事前注文はクレジットカード決済が基本だが、顧客ニーズを踏まえて事前決済だけでなく受け取り時の現地決済にも対応する。さらにカードだけでは取り込めない幅広い顧客層に訴求するため、電子マネーや現金による決済方法も盛り込んだ。どの決済方法も本会員登録が必要で連絡先を登録していることもあり、これまで注文後に来店しなかったケースはないという。
電子マネーやインバウンド決済を導入
「Tポイント」で商品開発や販促手法を強化
餃子などの小口決済ということもあって、Suicaを中心に電子マネーの利用も増えている。また最近、新宿や渋谷、大阪では道頓堀など中国人の観光客や就労者が多い地域では、エリア限定でAlipayやWechat Pay決済の導入にも着手した。こういった決済の場では企業広告も誘因力を発揮できるため、プロモーション媒体としての活用も計画している。
今年1月からは「Tポイント」サービスも開始しており、顧客の購買行動や商品リピートの履歴、店舗への来店導線なども分析できるようになった。西田氏は、「こういったデータを通じてTポイントを詳細な分析ツールとして活用し、今後1年間かけて各種データの蓄積を図っていきたい」とした。
「餃子サークル」は「大阪王将」の創業50周年に向けた取り組みの1つとして開発したが、現在もさまざまな施策を計画中だ。店舗ではすでに客席の卓上タブレットや店員のハンディタブレットからの注文に着手しているが、来店客が客席でスマホアプリを通じ自ら注文できるサービスも開発を始めている。さらにプッシュ通知などを活用しながら都内で就労する人を中心にアプリ注文を増やし、店舗への送客につなげたい考えだ。そのためにはまずアプリ会員の拡充を先行課題としており、「餃子サークル」をより楽しんでもらえるような仕組み作りやさまざまな販促に取り組むことで、目標の100万人の獲得を目指す。