JR東日本

2018年4月19日8:00

Apple PayでのSuicaサービス開始1年間で「モバイルSuica」会員数は約99万人増加
キャンペーンなどの実施によりSuica 電子マネーのさらなる利用促進を図る

JR東日本(東日本旅客鉄道)の「Suica」は、2004年には「Suica電子マネーサービス」、2006年には「モバイルSuica」のサービスを開始した。また、PASMOなど10の交通系ICカードによる全国相互利用サービスが2013年3月23日からスタートし、Suicaの利用は全国に広がっている。さらに、2016年10月から国内でサービスを開始した「Apple Pay」において、Suicaを利用できるようになるなど、モバイル会員の利便性も高まっている。

Apple PayのモバイルSuicaサービス開始
Suicaの利用可能箇所も順調に増加

2017 年12 月末現在のSuicaの発行枚数は、約6,801万枚(うち電子マネー対応 6,585 万枚)。Suica 電子マネーの利用可能店舗数は約45万190 店舗、利用可能箇所数(端末台数)は約81万4,680 台となっている。交通系電子マネーの一日あたりの利用件数(過去最高値)は、2017年8月25日の約664万件。

JR 東日本の「Suica」

JR東日本では、「Apple PayでのSuicaサービスは2016 年10 月25 日よりサービスを開始しました。こうしたことも含め、Android、フィーチャーフォンを含むモバイルSuica 会員数は2016年10月末から同年11月末の1カ月間にかけて、一気に14万人増加しました。前年同時期は2万人程度の増加であったことから、およそ7倍の方に新たにモバイルSuica 会員となっていただけたことになります」というように成果を感じている。

なお、その後もモバイルSuica会員数は、順調に増加し、Apple PayでのSuicaサービス開始後2017年10月末までの約1年間で約99万人(約20%)が増加した。2017年12月末現在では、約521 万人となっている。

親和性の高い加盟店への導入推進
Suicaポイントを「JRE POINT」へ共通化

Suicaの利用可能箇所も順調に増加しているが、JR東日本では、「引き続き大手チェーンなどへの導入を推進するとともに、観光地やイベントなど、Suica電子マネーと親和性の高い分野への導入も合わせて推進してまいります」と意気込みを見せる。

社内販売では、JR東日本と日本レストランエンタプライズは、2018年2月3日から、常磐線普通列車グリーン車の車内販売において、新開発の汎用スマートフォンを活用したクラウドPOS型ハンディ端末によるSuica等交通系電子マネー決済サービスを先行導入すると発表しており、今回の結果を踏まえ、今後、首都圏の普通列車グリーン車全線への本格的な導入や、端末ソリューションの外販も検討していくとした。

近年は、外国人観光客が数多く訪れているが、「Android 端末向けのモバイルSuica アプリやiOS 端末向けのSuica アプリケーションの英語版の提供については、お客さまのご要望等を踏まえ検討を進めて参りたいと考えています」とした。なお、Suica を利用した個人間送金機能などの提供に期待する声もあるが、「現時点では特に検討していない」という。

JR東日本は、2017年12月に、独自のポイントサービスである「Suicaポイントクラブ」のSuicaポイントを「JRE POINT」へ共通化すると発表。これにより、Suicaポイント加盟店は、WEBで登録したSuicaの利用でポイントが貯まる JRE POINT加盟店になる。利用者は、駅ビル等で貯まったJRE POINTと、登録したSuicaの利用で貯まるJRE POINT(現Suicaポイント)を1つにまとめて、合算して利用可能だ。また、貯まったJRE POINTは、従来通り駅ビル等で利用できるほか、1ポイント=1円として、Suicaへのチャージができるようになる。JRE POINTへの共通化に伴い、Suicaポイントクラブのサービスは、2019年3月で終了する。

「共通化により、駅ビルだけでなく、エキナカ等の店舗でのSuica 電子マネー決済でもJRE POINT が貯まるようになりました。それらのポイントを1 つの口座にまとめていただくことにより、さまざまな場所で付いたポイントをまとめて貯めて利用することができます。これにより、ポイントが貯めやすくなるだけでなく、駅ビルでの利用やSuica へのチャージ、Suica グリーン券への交換など、さまざまな方法で利用いただくこともでき、これまで以上に魅力的なサービスになるものと期待しております」(JR東日本)

シンクライアント端末の店舗への導入強化
スマホを決済端末として使用する試行実施

さらなる普及に向けた課題の1つは、「さらなるSuica 電子マネーの利用促進」だと考えているそうだ。利用促進を目的に、現在同社では随時キャンペーンを実施しているほか、LINE の「Suica」公式アカウントにてキャンペーン情報やスタンプ配信を行っている。今後もさらなる利用促進に向け、キャンペーンの実施と告知強化を検討していく方針だ。

「Suica 電子マネーサービス開始当初は、Suica 処理に必要なプログラム等を端末側で保持している、いわゆる『リッチクライアント端末』が一般的でしたが、最近では、ネットワーク通信速度の高速化や端末での処理能力向上といった情報通信技術の発達に伴い、Suica処理のための主要機能をサーバ側に持たせた、いわゆる『シンクライアント端末』が登場しました。一般的にシンクライアント端末はリッチクライアント端末と比べ安価なため、導入が拡大してきております。今後もシンクライアント端末を加盟店端末へと展開し、さらなるSuicaご利用シーン拡大と一層の利便性向上を図っていきたいと考えております」(JR東日本)

なお、2016年10月7日~10月9日まで、東京国際フォーラム地上広場(東京都千代田区)での「東京味わいフェスタ 2016」(運営:ジェイアール東日本フードビジネス)、10月24日~12月28日まで鉄道博物館(運営:公益財団法人東日本鉄道文化財団)における体験コーナーで、スマートフォン端末をSuicaの決済端末として利用するため、その仕様策定に向けた検証を目的として、店舗での試行を行った。JR東日本では、「スマートフォン決済端末については、汎用のスマートフォンを利用し、LTE 回線が使用できれば利用できるため、低コストで可搬性に優れているというメリットがあります。現在は、トライアルの結果をもとに商用化について検討を行っていますが、その時期は未定です」とした。

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