マキシム

レディースファッションEC「神戸レタス」で長期後払いを導入
決済方法の選択肢拡大で客単価アップなどの成果

レディースファッション通販サイト「神戸レタス」を運営するマキシムは2017 年、支払期限を最長60 日まで延ばせる長期後払い決済サービス「のんびり後払い」を導入。客単価アップなどの成果を挙げている。また、NTT ドコモの「d ポイント」などキャリアのポイント・決済サービスをいち早く取り入れたことも、顧客の拡大につながっている。

「のんびり後払い」で顧客のニーズに柔軟に対応
代引きから後払いへのシフト傾向も

「神戸レタス」は、会員数40万人を超えるレディースファッション通販サイト。安価で可愛い「プチプラ」商品や、女性誌に掲載されている商品を多く扱い、20~40代の女性を中心に支持を集めている。自社サイトの他に、楽天市場やYahoo!ショッピング、Wowma!といった大手ECモールにも出店し、売上を伸ばしている。

左からマキシム フルフィルメント部 部長 神田剛直氏、同部 カスタマーリーダー 津崎修氏

マキシムが2017年3月に導入した、キャッチボールが提供する「のんびり後払い」は、商品を購入後、支払いを最長60日まで遅らせることができるため、将来の資金状況も考慮して買い物できるのが特徴だ。利用する際の審査はあるが、クレジットカードなどの情報を登録する必要がないため、気軽に利用できる。

「のんびり後払い」を取り入れたのは、ファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイが2016年に始めた、最長2カ月の後払い決済サービス「ツケ払い」がきっかけだ。マキシム フルフィルメント部 部長 神田剛直氏は、「お客様の時々の状況を考えた時に、こういった決済サービスもあった方がサイトの利便性が上がるのかなと思いました」と振り返る。

当時、神戸レタスでは既に最長20日の後払い決済サービスを行っていた。このサービスを代行するキャッチボールに相談したところ、システムの改善で対応できることが判明したため、「のんびり後払い」の提供に踏み切った。

もともと、モールも含めた購入者のうち、約2割が後払い決済サービスを利用。現在では、そのうち約30%が「のんびり後払い」を選択しているという。これまで代引きを利用していた人が、長期後払いサービスに流れる傾向も見られた。

レディースファッション通販「神戸レタス」。トップス、ボトム、ワンピース、アウター、シューズなど、レディースファッションを幅広く取り揃えている

支払期限の余裕が生んだ客単価アップ
若年層の利用による未収リスクも抑制

また、サービス導入以降、客単価が伸びるという成果もあった。同社によると、長期後払いサービス利用者と、通常の後払い利用者の平均客単価を比較すると、長期後払いの利用者の客単価が30%ほど高かったという。

「決済サービスを導入しただけで(客単価が)伸びるというのは少し意外でした。60日のサイクルがあるので、余裕が出てくるのではないでしょうか。当社としては、多様な決済サービスを用意し、買いたいものをしっかり買ってもらえるようにしたいです」(神田氏)

「のんびり後払い」をスタートして間もなく2年。一般的に、後払いサービスを導入すると未収のリスクが高まるイメージがあるが、現在のところ、目立った問題はないという。

マキシム フルフィルメント部 カスタマーリーダー 津崎修氏は、「当社の場合、比較的購入単価が低いですし、サービスを代行企業さんがしっかりとした審査を入れています。未収が心配される状況になる前に、そこでしっかりと止めてもらえている部分もあるのではないでしょうか」と見解を述べる。利用者の払い忘れを防ぐために、確認のメールを送るなどの取り組みも進めている。

業界ではいち早くdポイントを導入
ドコモと連携したキャンペーンがプラスに

神戸レタスでは、クレジットカード決済やID決済のほか、携帯電話料金と合算して支払うキャリア決済も選択できる。キャリアのポイント・決済については、2017年7月、NTTドコモのポイントサービス「dポイント」を業界の中でもいち早く導入した。

専用カードを作成するなどドコモと連携したキャンペーンを展開した結果、集客につながった。当時はdポイントを利用できる店舗が少なく、ポイントが貯まっていても使う機会があまりなかったことが要因とみられる。

数少ない使い道として集客効果が見込め、ポイントを持たれている既存の利用者多いと予想してサービスとしてプラスになると考えた。神田氏は、「実際、こちらが付与するよりも、(神戸レタスで)使われるポイントの方が圧倒的に多かったです」と成果を述べる。

同社は現在、ECと関西を中心に展開する実店舗との連携にも力を入れている。通販サイトからスタートしたという強みを生かして、双方に客を呼び込む取り組みを進めている。リアルとネットとの会員情報のひもづけをして、購入状況に合わせたおすすめ商品の紹介や値引きサービスなどにつなげている。

神田氏は、「O2Oに関しても、社内でいろいろと模索しているところです。しっかりとしたデータを出して、効果がある取り組みをどんどん取り入れていきたいですね」と笑顔で語った。

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