東京シャツ

NFCタグによる店頭商品のセレクト技術導入で手ぶら帰宅が可能に
シャツ専門業界初の5坪以下の最小店舗を新橋で展開

「BRICK HOUSE by Tokyo Shirts」などの店舗ブランドで、シャツ専門店チェーン全国約190店舗を展開する東京シャツが、近距離通信規格のNFCタグを活用し、店舗で気に入った商品をECサイトに誘導させて購入できる技術を搭載した新業態の店舗「TOKYO SHIRTS ウィング新橋店」(東京都港区新橋)をオープンした。消費者の購買行動の変化や店員の意識改革などに効果が出ているようだ。

スマホをかざすと商品購入ページに遷移
「店舗の商品をスマホに入れて持ち帰る」

「TOKYO SHIRTS ウィング新橋店」は、仕事帰りのビジネスマンが気軽に立ち寄れるように、JR新橋駅の汐留改札正面に位置している。シャツ専門業界では最小級の5坪(16.5平方メートル)以下の狭小店舗だ。店舗当たりの収益力を高めるため、取り扱いアイテムをメンズ商品に限り、商品種類も通常店舗の半分程度に絞り込んでいる。

この新業態の店舗の特徴は、小売業界で初めて、交通系ICカードに似た仕組みの近距離通信規格である「NFCタグ」による店頭商品のセレクト技術を導入していることだ。タッチすることで情報を転送させることができる技術で、店内で気になった商品について、スマホでNFCタグにかざすだけで商品購入ページに飛ぶことが可能だ(タグにはQRコードも印刷)。

もし、店舗内の会計レジで購入しなくても、スマートフォンに検索結果の保存が可能なため、後日、自宅などでECサイトから商品を購入することが可能だ。ECサイトと連携することで、「店舗の商品をスマホに入れて持ち帰って頂く」というコンセプトを追求した新しい買い物のスタイルを提案している。

東京シャツ 経営企画室 室長 長村昌治氏は、「東京シャツのEC化率は徐々に高まっており、10%近くになっています。『TOKYO SHIRTS ウィング新橋店』のNFCタグを使った取り組みが、オムニチャネルの先鞭をつけるとの期待が高いです」と強調した。

東京シャツはこれまで、ショッピングセンターを中心に店舗開発してきた。しかし、最近は、ビジネスパーソンのニーズを吸い上げ、高い利益率を稼ぎ出すには、駅に近い小型店舗が有効との店舗戦略にも力が入っており、「TOKYO SHIRTS ウィング新橋店」がそのモデルケースになるとした。

長村氏は「レディースは試着室がないと致命的なので、ある程度の店舗の広さが必要になります。『TOKYO SHIRTS ウィング新橋店』は当社で最小の店舗なので、思い切ってメンズに特化し、アイテム数も絞っています」と話す。

東京シャツ新ブランドがサラリーマンの聖地新橋に、“ シャツ専門業界史上最小店舗” を初出店

店舗での販売商品は主力製品に絞る
在庫のない商品の購入につなげる

「TOKYO SHIRTS ウィング新橋店」の取扱商品は、東京シャツの最大の強みである、綿100%形態安定シャツを主力のアイテムに、商品のクオリティーとコストパフォーマンスを重視した商品を全体で約1,500点販売している。最も多くの商品をそろえる店舗では、アイテム数は1万点を超えるので、サラリーマン向けの売れる商品を集めた形だ。

具体的には、普段使いのシャツから、結婚式やパーティなど特別なシーンで着用するシャツなどさまざまなデザインを取り揃えている。2017年1月から発売を開始している「SUPIMA(高級ピマ綿)シャツ」は、超長綿のふんわりとした肌触りでと心地良い着用感が特徴で、カシミヤのようなツヤ感や、ドレス仕立ての雰囲気を演出している。

また、「ビジネスマンに便利な商品『FLAT PACK(フラットパック)』は、シャツを圧縮し、サイズをコンパクトにすることで持ち運びを便利にしています」と同部 番平有記氏は説明する。普段の買い物はもちろん、急な出張の際にも便利な商品であるとした。環境への配慮の観点から、包材を極限まで抑え、ごみの減量、リユースも意識している。

長村氏は、「『TOKYO SHIRTS ウィング新橋店』への来店客は、店舗に在庫のない商品についても購入していただけるようNFCタグを採用しています。仕事帰りでも、荷物を持たずに買い物をしてもらえますし、気に入った商品はスマホに保存し、帰宅した後で、ECで買うこともできます」とした。

NFC タグによる店頭商品のセレクト技術導入” で手ぶらで帰宅が可能に

レジ通過客数の15%がNFCタグ等にタッチ
今後はキャッシュレス化も進める

また、商品の特徴や詳細を確認したり、サイズを調べたりもできる。オープンから4カ月時点で、レジ通過客数の15%が、NFCタグもしくはQRコードにスマホをかざし、ECサイトに遷移している。長村氏は、業界初の試みのため、数字の検証は難しいとしたが、「顧客の買い物行動に変化の兆しも感じられます」と述べた。さらに「従業員は、自分の店舗だけで売れてほしいとの考えに陥り勝ちですが、ECとの連携に取り組むことで、店舗同士が競い合うだけで、機動的に連携できないセクショナリズムや店舗間の壁といった意識も払しょくできます」と期待する。

また、データの活用は喫緊の課題。長村氏は「画像認識なども活用し、店舗の棚にどのような商品を置くかというような店舗設計やマーケティングに関する分析にも活用しています。今後は決済のキャッシュレス化を進めることと、NFCタグとどう連動させられるかが課題になります」と話し、他の店舗にも同様の取り組みを広げることも選択肢として検討していく考えを示した。

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