千葉県木更津市/ 木更津市商工会議所/ 君津信用組合

電子地域通貨「アクアコイン」の加盟店は順調に拡大
市内のキャッシュレス環境を整備し、コミュニティの活性化を目指す

木更津市、木更津市商工会議所、君津信用組合は、2018 年10 月1 日から、木更津市域を対象とする電子地域通貨「アクアコイン」の商用展開を行っている。3 者では、アクアコインによる地域経済の活性化を目指す。

実証実験では想定以上の成果
「チャージ用プリペイドカード」も販売

アクアコインは、スマートフォンアプリ上で利用できる電子地域通貨だ。利用者は、スマートフォンの専用アプリをダウンロードし、1円=1コインとしてアクアコインをチャージしたうえで、木更津市内の加盟店に設置してあるQRコード(二次元コード)を読み取り、利用代金をキャッシュレスで支払い可能だ。加盟店にとっては、QRコードの設置のみで導入可能なため、クレジットカード決済等に比べ、初期導入費用の負担が少ないことに加え、現金の管理や取り扱いの手間が省ける特徴がある。

木更津市 経済部産業振興課 主幹 鈴木昭宣氏

木更津市では2017年10月にアクアコインのプロジェクトチームを発足。2018年3月28日から6月24日の3カ月間、職員等901名を対象とした実証実験を行ったが、売上目標3,000万円に対して売上実績約4,149万円、4,852件の利用があるなど、想定以上の成果となり、商用展開に至った。

アクアコインの利用者は、君津信用組合の本支店、市内2カ所のチャージ機でチャージが可能だ。さらに、商用展開開始に合わせ、「チャージ用プリペイドカード」の販売を新たに開始。実証実験のアンケートで、利用者からチャージの充実に関しての要望があったため、新たにカードタイプも用意した。販売券種は、1,000、3,000、5,000、10,000の各コインとなり、取り扱い加盟店も順次、増加している。

「アクアコイン」アプリ

木更津市内のセブン-イレブンで利用可能
成人式などイベントでの活用も進む

アクアコインの商用化開始時点では、スーパーマーケット、コンビニエンスストア、飲食店、花街、神社仏閣など、300加盟店が名を連ねた。木更津市 経済部産業振興課 主幹 鈴木昭宣氏は、「開始月の見込みとして、一人5,000円のチャージで、1,500万円ほどになればと考えていましたが、概ね目標通りのスタートが切れました。引き続き、同じような数値で利用者を増やしていきたいです」と意気込む。2019年1月末時点では、400店舗以上が加盟しており、当面は、2018年度末(2019年3月)までに500店舗を目指す。2018年11月からは、セブン-イレブン・ジャパンの「セブン-イレブン」5店舗での利用もスタート。鈴木氏は、「セブン-イレブン様は、もともと実証実験の時から加入したいという店主の声がありましたが、本部との調整が済み、現在は木更津市内の18店舗(2019年2月)が加盟しています」と話す。

加盟店に設置された二次元コードのPOP

イベントでの活用も進んでいる。2018年11月に開催された「グローカルハピネス」では全110店舗でアクアコインが使える取り組みを実施。木更津駅から同会場までゴミを拾って持参すると100アクアポイントをプレゼントした。また、「みそづくりワークショップ」の参加費をアクアコインで払うと、1,500円のところ1,300コインで参加できるようした。さらに、毎月木更津駅前で実施している身体にやさしい食が集まる駅前マルシェ「木更津ナチュラルバル」では全店舗でアクアコインが利用できる。

2019年1月13日に開催された成人式では、新成人への木更津市からのお祝いとして、アクアコイン500ポイントをプレゼントしたほか、特設会場を設置しチャージポイント上乗せキャンペーンを実施した。

なお、加盟店が支払う換金手数料は、木更津商工会議所、木更津市富来田商工会、市内の商店会の会員および君津信用組合の組合員については1.5%、それ以外の店舗は1.8%となっている。また、換金せずにコインのまま送金すると0.5%の手数料で済む。

銀行口座からのチャージを予定
行政ポイントでコミュニティ活性化

利用者のアプリのダウンロード数は2019年2月13日現在で5,400。7,500万コインがチャージされ、そのうち6,400万コインが消費されている。プリペイドカードは5,000枚が発行されており、プリペイドカードにより770万コインがチャージされている。2月1日からは、利用額の5%を還元するキャンペーンを実施しており、10月の消費増税に伴う国のキャッシュレス決済によるポイント還元のシステム整備を一足早く実施した。

2019年度からは、銀行口座からのチャージを想定している。また、アクアコインはBtoB取引にも活用が可能で、将来的には市から業者に支払う工事費や委託料の一部をコインで行うことを検討しており、このような利用が進めば、流通金額も大きくなるとした。現状、アクアコインの利用にあたり属性の登録を不要としているが、将来的には性別や年齢を取得し、ビッグデータ的な活用ができればと考えている。

鈴木氏は、「アクアコインを活用し、キャッシュレス化の推進と地域経済の活性化、コミュニティの活性化ができればと考えています」とした。2019年度には、アクアコインのアプリを通じて、ボランティア活動などに対してポイントの付与を開始予定。また、市役所窓口での証明書発行等の手数料について、コインでの支払いへの対応を予定している。さらに、市職員の希望者には、給与の一部をコインで支払うことも検討している。加えて、中国人向けの決済サービスとの連携も視野に入れる。

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