店舗やECのキャッシュレス決済やセキュリティ対策を取り巻く最新の動向は?

後払いサービスの導入が加速

インターネット決済市場も注目の分野だ。後払いの分野では、支払い手段として定着しているクレジットカードに加え、「後払い」決済の導入企業が増加している。後払いは、利用者が実際に商品を受け取ってから支払いが可能な点、事業者が立替払いを行うためEC加盟店への入金が保証される点が特徴で、市場が拡大している。クレジットカードを持たない、持てない若年層、20~30代の女性などが数多く利用しており、近年はEC大手モールや旅行業、家電など、これまで後払いがそれほど導入されていなかった分野でも広がりを見せている。

また、楽天、ヤフー、Amazon(アマゾン)といった大手モール事業者では、ID決済を展開。数千万人のユーザーを有しているモールも多く、その会員をそのまま送客可能だ。さらに、クレジットカード番号等を入力する必要なく、IDとパスワードのみで支払いが行える点も特徴となっている。また、大手キャリアが展開するキャリア決済は、デジタルコンテンツに加え、若年層を中心に物販での利用も伸長している。

今後は、飲食店における事前注文・支払いサービス、アパレル商品を店舗で選んでECサイトで注文するといったような、リアルとECサービスの連携も注目される。

実行計画で加盟店のIC化やカード情報非保持化が進む

セキュリティ分野では、クレジット取引セキュリティ対策協議会が、国際水準のクレジットカード取引のセキュリティ環境を整備するため、クレジットカード会社や加盟店をはじめとする各主体が講ずべき措置を取りまとめた「クレジットカード取引におけるセキュリティ対策の強化に向けた実行計画」を策定している。

そのクレジットカード情報保護対策では、2018年3月末までに、カード情報の漏えい頻度が高い非対面(EC)加盟店について、原則として非保持化を推進し、仮に保持する場合はPCI DSS準拠を求めた。また、対面加盟店に関しては、2020年3月までを導入期限とした。さらに、カード情報を保持する必要性のあるカード会社(イシュア・アクワイアラ)および PSP(決済代行事業者等)については PCI DSS 準拠を求めている。クレジットカードの偽造防止対策に関しては、2020年3月までにクレジットカードおよび加盟店の決済端末のIC対応100%実現という明確な目標がある。改正割賦販売法の実務上の指針である実行計画によって、加盟店のクレジットカード情報の非保持化や決済端末のIC化は大きく進んだ。

その一方で、ECなどの非対面取引における不正利用対策は、多面的・重層的な不正対策を行うように働きかけているが、今なお不正利用が顕在化している状況だ。不正利用対策では、本人認証、券面認証、属性・行動分析(不正検知システム)、配送先情報といった方策が示されている。

動きが激しいポイント市場、スマホ決済との連携にも注目

ポイントサービスでは、大手共通ポイントの「Tポイント」、「Ponta」、「楽天ポイント」、「dポイント」、「WAON POINT」の動きが注目される。NTTドコモはdポイントをフリマアプリ「メルカリ」で貯めたり、使ったりできるようにすると発表。また、Pontaポイントは、KDDIのユーザーが利用できるようになるため、1億人規模の顧客基盤が形成されるという。

そのほか、新たな動きとして、フェリカネットワークスでは、モバイル電子マネーの利用に応じてポイントが貯まる「おサイフマイル」を4月からトライアル開始する。利用者は、Suica、楽天Edy、nanaco、WAONといった電子マネーを使うと共通ポイントが付与される。また、7月からは、マイナンバーカードを活用した消費活性化策として、キャッシュレスでチャージまたは買い物をすると、25%(上限5,000円分)のポイントが手にできる「マイナポイント」事業のスタートも予定されており、その成否に注目が集まりそうだ。

KDDI が付与する「au WALLET ポイント」をロイヤリティマーケティングの「Ponta ポイント」に統一するなど、ネットとリアルを融合した新たな消費体験の創造に向けた取り組みを実施

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