鉄人化計画

選曲リモコンで料金の支払いもできる「カラ鉄GO」をリリース
自社開発のPOSシステムとつなぎマーケティングに有効活用へ

東京・神奈川・千葉で「カラオケの鉄人」56店舗を展開する鉄人化計画は、2020年3月を目処に、カラオケの選曲リモコンに決済端末の機能を持たせることによって、室内で料金の支払いができる「カラ鉄GO」をスタートする予定だ(取材時点)。ユーザーはスマートフォン決済によりキャッシュレスで支払いを済ませることができる。同社では、全メーカーのカラオケ機器が利用できるカラオケ機器集中管理システム、カラ鉄独自で楽曲配信のできる楽曲配信システムや、POSシステムを独自に開発。これらを駆使してユーザーの選曲履歴やフードなどの注文情報を収集・蓄積している。「ソーシャルカラオケ」をコンセプトとする今夏リリースのスマホアプリでは、グループ単位のみならず個人ごとの嗜好および動向データを集積し、マーケティングへの活用を図る。

鉄人化計画 執行役員 IT 事業本部長 梶山 尋史氏

会員管理やPOSシステムを自社開発
「カラ鉄GO」でルーム内で決済を完了

2000年に「カラオケの鉄人」第1号店をオープンし、現在、東京、神奈川、千葉でカラオケ56店舗等を展開している鉄人化計画は、創業当初から自社開発による独自の楽曲配信システムを使用している。各室のユーザーからのリクエストをまずこのシステムで一手に受け付け、接続されている複数メーカーのカラオケ機器の中から当該楽曲をピックアップして、各室に配信。カラオケの機種に依存せずにより多くのリクエストに応えることのできる仕組みである。同チェーンにおいては、会員管理システムや、POSシステム、各室に設置された選曲リモコンも自社開発によるものだ。

システムを自社で開発する利点について、鉄人化計画 執行役員 IT事業本部長の梶山 尋史氏は、「店舗のオペレーション環境に合わせたカスタマイズや、毎週のように上がってくる要望にも、迅速かつきめ細かく対応することが可能。選曲やフードの注文などの多様なデータを一元的に蓄積・管理し、分析して、直接マーケティングに活用できることも強みです」と説明する。

2020年3月には、各室で使われる選曲リモコンをバーションアップし、決済機能を搭載予定。ユーザーが室内で、LINE Pay、楽天ペイ、Origami Pay、d払いを用いてキャッシュレスで料金の支払いを済ませることができる「カラ鉄GO」をリリースする。

QRコード決済に関し、同社店舗のフロントでは、導入当初はユーザーがスマホでQRコードを読み取るMPM方式のみを採用していたものの、大手コンビニなどが採用しユーザーに馴染みのある、ユーザーがQRコードを提示し店舗側が読み取るCPM方式も途中から採用。ただし「カラ鉄GO」では、ユーザーがスマホと備え付けタブレットのみでセルフ決済を完了させる必要があるため、リモコンのモニターにQRコードを表示させ、これをユーザーがスマホで読み取るMPM方式を採用している。

「カラ鉄GO」の流れ

会員管理、マッチング、決済を統合した
スマホアプリ「ソーシャルカラオケ」

この「カラ鉄GO」の機能も取り込んだ新サービスが、今夏にもリリース予定の「ソーシャルカラオケ」サービスだ。

この構想の下敷きになっているのは、同社が提携企業とともに2013年に立ち上げ、一部の熱烈なファンに惜しまれながら数年で終焉を迎えたソーシャルカラオケサービス「ohaco(オハコ)」。「ohaco」は近年、音楽の嗜好傾向のセグメントが細分化する中で、同じ嗜好を持つ仲間を探し出し、いっしょにカラオケを楽しもうという主旨のマッチングサービスで、独自視点で差別化を図ってきた同社ならではのサービスだった。今回改めて「ソーシャルカラオケ」サービスを立ち上げるに当たり、同社ではマッチングサービスに加えて、店舗体験にオンラインを同期する新しい遊び方を提案。会員証、店舗予約・チェックイン、決済の機能も備え、ユーザー同士のコミュニケーションを軸にUIを統合したアプリとして提供する。

アプリをダウンロードした後に求められる会員登録は、性別、生年月などわずかな情報の入力だけで、最短20秒ほどで完了。登録が済んだユーザーのスマホは、これまでの選曲リモコンに取って代わり、ここからオーダーされたカラオケ曲の履歴などは個別会員のデータとして蓄積されていく。会員同士はアプリのチャット機能を用いて、店舗内ではもちろん、退店した後もコミュニケーションをとることができ、オーダーや来店メンバーなどの履歴はチャットとともに自動的に記録される。

「カラオケの鉄人」のユーザーの属性は、男女比は半々、年代も幅広い。スマホを持たない会員向けには、スマホの貸し出しも検討している。蓄積される個別の音楽嗜好データは、自社のマーケティングに活用するほか、他社のマーケティングとのアライアンスも視野に入れている。

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