BANDAI SPIRITS

2021年3月9日

独自のチャージ型電子マネー「プレバンPay」サービスを開始
今後はトイホビージャンルを軸にニッチトップ戦略を展開

BANDAI SPIRITSは2020年11月、バンダイナムコグループで幅広い年齢層向けのおもちゃやホビー商品を取り扱う自社のECサイト「プレミアムバンダイ」などで使える独自のチャージ型電子マネー「プレバンPay」を導入した。クレジットカード以外、コンビニエンスストアでのチャージも対応するなど顧客の利便性を重視した取り組みを進め、トイホビーエンターテインメントジャンルの電子マネーとして存在感向上を狙う。

ECサイトで使える電子マネー
コンビニでのチャージにも対応

BANDAI SPIRITSは2018年、バンダイのハイターゲット(大人層)向けの事業を強化するために設立された。「世界一の総合ホビーエンターテインメント企業」を目指し、フィギュアやプラモデル、景品、雑貨などの開発や製造に取り組んでいる。

おもちゃやホビー商品を取り扱う「プレミアムバンダイ」

同社はバンダイナムコグループの商品を扱うECサイト「プレミアムバンダイ」を運営。新型コロナウイルスの感染が拡大する中での巣ごもり需要も影響し、サイトは順調に成長している。担当者は「巣ごもり需要もそうですが、店頭でお客様がご購入いただきにくくなった部分が通販に流入しているのではないでしょうか」と話す。最近では、従来の利用者に加えて、話題の人気アニメグッズなどをきっかけにサイトを知る利用者が増えてきたという。

「プレバンPay」は、ECサイトなどで商品の購入やチャージなどができるチャージ型電子マネーだ。富士通Japanが提供する「FUJITSU リテイルソリューション ValueFront(バリューフロント)電子マネーサービス」を採用し、まずはECサイトに実装した。

電子マネーのチャージは、クレジットカード払いだけでなく、コンビニエンスストアでの支払いやPay-easy(ペイジー)払いにも対応している。チャージ1円につき1円分の残高となり、残高上限30万円までチャージできる。チャージの際の手数料は無料。ECサイトの商品代金をコンビニやペイジーで支払う際は手数料がかかるが、電子マネーなら、チャージ時も無料であるだけでなく、支払いも手数料がかからずに何度でもできる。また、ECサイトで別々に注文した商品を、1回の送料でまとめて送ってもらう「後からおまとめ」機能を組み合わせれば、さらに手数料の支払いを抑えることができる。

プレバンPay ロゴ

20代中心に幅広い年齢層が利用
商品代金に対しチャージ額は多め傾向

なぜプレバンPayが導入されたのか。担当者によると、これまでECサイトはクレジットカード決済と代金引換がかなりのシェアを占めていた。しかし、予約受注生産での販売が大半のECサイトであったため、代金引換や後払い決済において、一部のお客様による不正行為や規約違反行為が発生。損害が拡大し、2019年8月以降、やむなく決済方法の制限措置を取ることになった。

こうした背景が、学生や若者など、クレジットカードを持たない、作れない利用者を阻害せず、使いやすい、現金でもチャージが可能な前払い電子マネーを導入する動きにつながった。コンビニの「POSAカード」のような既存のサービスを利用することも検討したが、社内で顧客情報や購入履歴などを管理し、サービスの利便性を高めようと、独自の電子マネーを作ることとした。多くの先行サービスがあったため、仕組みの構築や顧客の理解もスムーズだった。

担当者によると、導入して2カ月が経った2021年1月時点で、20代を中心に幅広い年齢層が利用している。「当ECサイトは基本的に30代、40代のご利用が多いのですが、プレバンPayは10代、20代が目立っています。たまたま若年層に人気の商品が多かったということもありますが、オンラインのガシャポンサービスなどに使われているようです」

当初の狙い通り、コンビニでの入金はかなり使われている。他には、購入商品の価格よりも多額をチャージする傾向が見られるという。担当者は「例えば8,000円ぐらいの商品を買う場合に1万円を入れるなどのケースです。当初は定価と送料の合計金額ぴったりの入金をされると予想していましたが、次の購入に向けた貯金のような形で多めに入れてますという声もありました。お客様がプレバンPayのサービスにメリットを見出して下さっているのだとすれば、ありがたい限りです」と話す。

今後は実店舗での利用を広げる
「トイホビーならプレバンPay」へ

今後はチャージ対応ができるコンビニを増やすほか、同社が運営するフィギュアの直営店やキャラクターカフェなどバンダイナムコグループの実店舗でも電子マネーを利用できるようにしていくという。まずはECサイトの顧客への認知を広め、より魅力的で、使いやすいサービスの構築を目指す。

担当者は「交通系電子マネーのような幅広い層が利用するサービスを目指すというよりは『トイホビーのエンターテインメントではプレバンPay』と受け入れられるようになれば。後発として他にない利点を創出しつつ、ニッチトップ戦略で攻めていきたいと思っております」と意気込む。

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