富山第一銀行

2021年3月9日

ブロックチェーン活用で地域経済の活性化を目指す
「ファーストバンクコイン&YOSEGAKI」の機能を拡充

富山第一銀行では、2019年11月から実施してきた「ファーストバンクコイン&YOSEGAKI」の機能を拡充。当初2020年1月までとしていたサービス提供期間を延長し、実施を継続している。「ファーストバンクコイン&YOSEGAKI」は、ブロックチェーン技術を用いた電子決済体験サービスだ。「生活」「行事」といったテーマ別の掲示板に意見を寄せたユーザーに感謝ポイントを付与し、同行のイベントスペースで飲料などと交換してもらうほか、掲示板に活発に投稿しているユーザーなどに地方創生を目的としたオフサイトミーティングへの参加を促し、そこで出された意見や提案を具体的な施策の実施に結び付けていきたい考えだ。

ブロックチェーン技術の可能性に着目
社内コインで利活用を検証

富山県内を中心にインターネット支店を含む66店舗を展開する富山第一銀行は、国内の金融業界の中でも最も早く、地域経済圏の決済ツールとしてのブロックチェーン技術の可能性に着目。2017年10月には富山産業展示館で行われた「富山県ものづくり総合見本市2017」会場で、この技術を用いた仮想通貨検証実験を行った。来場者が自身のスマホにアプリをダウンロードし、会場内の各企業の展示ブースを回ってQRコードを読み取るとコインが貯まり、同行のブースで景品と交換できる仕組みで、3日間で517名が参加。参加者からは「簡単で便利」という声が多数聞かれた。

富山第一銀行 取締役 デジタルイノベーション室長 長谷聡氏

また2018年11月から半年間、社内コインの実証実験を実施。アプリにチャージしたコインを、行内の売店での飲料などの購入に使えるようにしたところ、売店の売上がそれまでの7倍以上に増加。キャッシュレス化が消費の刺激になることを把握。精算に伴う売店側の作業負担も大幅に削減できた。アプリはほかに、募金活動や個人間送金にも活用され、実験期間を通して高い利用頻度が維持されていたという。

これらの結果を踏まえ、2019年11月から、利用者に気軽にキャッシュレス決済を体験してもらうことを目的に、SAMURAI Securityが提供するブロックチェーントークンシステムを利用した電子ポイントサービス「ファーストバンクコイン&YOSEGAKI」をスタート。同行のイベントスペース「NomuLab-のむラボ-」に専用QRコードを設置し、これを読み込んでの初回登録、および、掲示板「YOSEGAKI」への同行の応援メッセージの投稿やアンケートの回答でファーストバンクコイン(FBC)を付与し、店内で飲み物などの景品と交換できるサービスだ。利用者からは「現金支払いと比べて非常に便利」という声が多く寄せられ、システムもまったくトラブルなく順調に運用されている。

同取り組みは、2020年1月末までの期限付きだったが、終了日を設けず期間を延長。同時に、将来を見据えて機能も拡充した。

ファーストバンクコイン 運用イメージ図

県民とのコミュニケーション機能を拡充
地域通貨や商店街クーポンの活用を検討

これまで「ファーストバンクコイン&YOSEGAKI」では、掲示板「YOSEGAKI」に応援コメントと応援スタンプを送信できる機能を設けて、「NomuLab-のむラボ-」に対する要望や感想の投稿を募っていた。2020年1月28日からはこれに、「生活・暮らし」「飲食」「観光」「行事・イベント」のカテゴリを追加。これらの掲示板への書き込みに対し、感謝ポイントを付与する。さらに、多くの投稿をし、感謝ポイントを集めているユーザーに、地方創生についてのオフサイトミーティングへの参加を勧め、提案や発言をする機会を提供する。そしてこのミーティングでの提案などを、同行の地域創生施策に反映、実施につなげる。感謝ポイントは今後、「NomuLab-のむラボ-」のみならず、地域経済活性化に貢献するために地域通貨や商店街クーポンなどとして利用できるよう拡大を検討していく。

この取り組みは、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部より、「令和元年度 地方創生に資する金融機関等の『特徴的な取組事例』」として認定を受け、内閣府特命担当大臣(地方創生担当)の表彰を受けた。

アプリやインターネットバンキングのユーザーをいかに増やすかが、2021年の課題。「2020年はコロナ禍のため、前年比で2倍以上にユーザーが増えました。この流れを止めずにユーザーの拡大を図っていきたいと思います」(富山第一銀行 取締役 デジタルイノベーション室長 長谷聡氏)。そのため惜しまぬ投資をし、アプリのUIも一新した。インターネット支店も、2020年7月からフルバンキング化し、すべてのサービスを提供できる体制を整えた。全顧客の2割、アクティブユーザーのほとんどが、通常取引をモバイルで完結するという状況を作ることが当面の目標である。

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