GMOあおぞらネット銀行

2021年3月9日

口座開設時に総付で発行するデビットカードは還元率の高さが特徴
APIなどの「プラットフォーム銀行」サービスで多様な企業と連携

あおぞら銀行とGMOインターネットグループが共同運営するGMOあおぞらネット銀行は、個人、個人事業主、法人顧客向けに、銀行口座開設時に総付(法人顧客は発行要否選択可)でデビットカードを発行している。高い還元率は好評で、法人が事業経費の支払いなど「B to B」のシーンで利用するケースが増えている。APIを介した他社との連携にも力を入れ、2021年1月には、伊藤忠商事と金融サービスの提供を推進する業務提携契約を結んだ。

「No.1テクノロジーバンク」を自負
ビジネスでデビットカード利用増

GMOあおぞらネット銀行は2018年7月、あおぞら銀行が約85%、ITやECサービスを得意とするGMOインターネットグループが約15%の株式を保有する形で設立した。「No.1テクノロジーバンク」を目指し、あおぞら銀行のノウハウとGMOグループの技術を生かした利便性の高いサービスを展開している。

GMOあおぞらネット銀行のVisa デビット付キャッシュカード。個人向けは黒(上左)、白(上右)
を選択でき、法人向けカード(下左)も用意。右が15 歳未満(下右)のキャッシュカード

GMOあおぞらネット銀行によると、コロナ禍でも個人、法人ともに口座開設数は順調に増加。窓口に出向くことなくオンラインで口座を開設できることや、「巣ごもり消費」でECサイトの利用が活発になっていることなどが影響しているようだ。

設立当初は個人顧客に焦点を当てていたが、手数料の安さやインターネット上でサービスが利用できることから、中小企業やスタートアップを中心に法人顧客が増加。現在は法人向けのサービスに軸足を移しつつある。

同行のサービスの特徴の1つが、口座開設時に総付で発行されるデビットカードだ。個人には、キャッシュカードと一体化した「Visaデビット付キャッシュカード」、法人・個人事業主には「Visaビジネスデビットカード」を配布する。いずれもタッチ決済に対応。特徴は還元率の高さで、個人はランクによって利用額の最大1.5%、法人は一律1%がキャッシュバックされる。

サービスを担当するビジネスソリューショングループ カード事業統括チーム イシュイングチーム長 鈴木 征一郎氏によると、2021年2月現在、法人に約1万6,000枚のカードを発行している。そのうち実際に利用されている法人は約4,000枚。稼働率でみると、法人カードの方が個人よりも2倍以上多く使われているという。

利用者の特徴や傾向として、15歳以上から利用できる個人カードの場合、10代の稼働率が非常に高いという。取扱高については、30~50代の顧客が多く利用している。法人は広告宣伝費や通信費の支払いなど、事業経費の支払いで利用されるケースが増えている。

ビジネスソリューショングループ カード事業統括チーム イシュイングチーム 脇 正享氏は「法人活動のB to Bでのご利用が大きくなっているのが特徴です」と説明する。ウェブ広告やアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)のコストをデビットカードで支払うケースがある。例えばAWSでは、利用者からは「クレジットカード限度額に達した際のサーバー停止を防ぐためにも、デビットは残高通りに使えるのがありがたい」という声をもらっているそうだ。

課題は、認知度の向上だ。クレジットカード感覚で使ってしまい、口座の残高不足で引き落としできないケースなどがあるため、定期的に、利用者あてにデビットカードの特徴や利用方法を説明するメールを送付している。また、現在はVisaのみの取り扱いだが、将来的には、ブランドの拡大も視野に入れていくという。

「CaelCard」で銀行APIを活用
伊藤忠商事との業務提携も進む

金融業界のトレンドである、銀行と外部の事業者との間で安全にデータをやり取りできる状態にする銀行API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)にも積極的に取り組む。2019年1月に預金者の口座残高や入出金明細を参照できる「参照系API」、同5月に口座振込や振替などの資金移動を含む取引ができる「更新系API」を始めた。

2020年4月には、国内の銀行で初めて無償でデータを利用できる銀行API実験環境「sunabar(スナバー)」を開放。同行の口座利用者であれば、個人・個人事業主・法人問わず使える。エンジニア同士がつながる場を提供し、新たな金融サービスの開発を後押しする。

法人営業を担当するビジネスソリューショングループ コンサルティングチーム長 宇津井 悠史氏は「顧客が提供するサービスに同行の銀行機能を組み込んで活用してもらう『プラットフォーム銀行サービス』も、多様な企業との間で進行中です」と話す。ホワイトカードの法人向けサブスクリプション型フィンテック送金サービス「CaelCard(カエルカード)」もその1つ。企業が従業員1人あたり月額198円(税込)の利用料を支払えば、カード会員間の送金を何度でも利用できるというサービスには、同行の為替機能が組み込まれている。

さらに2021年1月、給与前払いなど幅広い金融事業を展開する伊藤忠商事と業務提携契約を締結。口座開設だけでなく、融資やファクタリング、FXなどオンラインで各種手続きが手軽に申し込める利便性の高い同行と伊藤忠商事、それぞれの得意分野を生かして、事業者やその顧客に最適化した金融サービスの提供を目指す。

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