きらぼし銀行/きらぼしテック

2021年3月9日

給料日前に働いた範囲内でお金を受け取れる「前給」機能を搭載
新スマホアプリ「ララQ」「ララPay」を今春リリース

きらぼし銀行とグループ会社のきらぼしテックは、従業員が給料日前に働いた範囲内でお金を受け取れる制度である「前給」サービスを活用した新しいスマートフォン向けアプリケーションである「ララQ」サービスを資金移動業等の登録及び認可を前提として2021年春にもスタートさせる。オリジナル電子マネー「ララPay」で前給チャージができるほか、他社サービスへの送金も可能にする方向だ。

デジタルマネーで受け取り
ATMで現金化も可能に

従来、「前給」サービスは現金による振込のみだったが、「ララQ」を活用することで、オリジナル電子マネー「ララPay」へのチャージが可能となる。また、「ララPay」は店舗決済でも利用することができる。まず、ジェーシービーおよびインコム・ジャパンと連携し、加盟店の開拓を進める方針。eKYC(本人確認)の手続を経てセブン銀行ATMで現金化もできる。さらに、アプリ間での送金や各社の電子マネーへの送金など、利便性の高いサービスの提供を目指している。

左からきらぼしテック 代表取締役会長 西村浩司氏、代表取締役社長 石原邦浩氏

「前給」サービスを約16年前に始めたきらぼしテック 代表取締役会長 西村浩司氏は、「当時、『学生のアルバイトが夏休みのバイト代を夏休み中にもらえなくて困っている』という話を聞きました。その原因がアルバイトの代金は月末締めの翌月15日払いとした場合、せっかく稼いだお金を使いたいときに使えないからです。そこで、給料日にこだわらず、受け取れる制度である「前給」サービスを考案しました」と話す。

具体的には、事業会社におけるパートやアルバイトなどの従業員の給料日前の資金ニーズに応えることができるサービスで、労働実績内で給料日前にお金を受け取ることができる制度。従業員は、きらぼし銀行に口座がなくても、勤務先の事業会社がきらぼし銀行と契約していれば、従業員からの申し込みにより最短で翌営業日に給与振込口座宛に資金が振り込まれる。

2005年にビジネスモデル特許を取得し、サービス提供を開始。昨今の人手不足を背景に、福利厚生サービスの充実による人材確保および定着率向上を目指す事業会社において導入が増加している。当時から、正社員向けには同様の福利厚生制度はあったが、アルバイト従業員を大量に雇用する業界では正社員との不公平感の解消に役立っているという。「前給」サービスの契約企業を通じて50万人が登録しているが、学生アルバイトなどは1年から1年半で入れ替わることが多い。せっかく繋がりができた従業員が、「前給」サービスを使っていない企業で働くとエンゲージメントが下がってしまう問題を抱えていた。そこで、スマホアプリのウォレット機能を活用し、長期間、エンゲージメントを確保できるサービスとして「ララQ」を企画した。

前給をデジタルマネーで受け取れるスマホ決済アプリ「ララQ」。
電子マネーの決済サービス「ララPay」を備えたアプリ

LINE Pay実証実験で8割が「満足」
QRコードに新たな世界観を

「ララQ」の実用化を目指し、きらぼし銀行ときらぼしテックは2020年4月から、LINE Payおよび日本ユニシスと連携し、「前給」サービスの新たなデジタルマネーでの受け取り方法に関する実証実験に取り組んだ。

「LINE Payかんたん送金サービス」を利用した新たなデジタルマネーでの受取方法の実証実験は、きらぼし銀行の役職員約100人に対して、「前給」サービスを活用して、直接「LINE Pay」の残高で受け取る方法を試した。

「前給」サービスを導入する企業への将来的な展開やデジタルマネー活用による利便性向上などを見込んだ実証実験プロジェクトで、「前給」サービスから「LINE Pay」へのデジタルマネーでの受け取りについては、日本ユニシスのICT基盤「doreca」を活用した。

「前給」サービスとデジタルマネーでの受け取り機能とのシステム連携について、問題なく稼働することを確認。操作におけるユーザビリティ(使い易さ、満足度)について、参加者の約8割が「『前給』サービスからスムーズにLINE Payで受け取ることが出来た」と回答するなど、一定のユーザビリティが認められた。

きらぼしテック代表取締役社長 石原邦浩氏は「ララQの特徴は、他社Payとの接続を積極的に進めることであり、実証実験では、『LINE Pay』や『doreca』との連携もスムーズに行えることが確認できました。QRコード決済は増えたといってもまだ普及の途上であり、『前給』サービスの導入により、『QRコード決済の世界観が変わった。財布を忘れても一日問題なく過ごせた』という意見もありました」と話す。

開発は順調で、資金移動、第三者前払い、ポイントの3サービスを一体化した時に、顧客誤認をさせないような作り込みにも配慮している。

「ララQ」の提供は、「前給」サービスを利用している顧客企業を対象としているが、今後、より多くのセグメントへのアプローチや、地銀連携によるチャネルの拡大などを掛け合わせることで、ビジネス機会の最大化を目指す。西村氏は「働く人たちがより便利に活用できる前給発のプラットフォームを目指します。働く人にとってお得でうれしいサプライズなサービスを増やしていきたいですね」と語り、笑顔を見せた。

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