2021年3月9日
「BtoB の輸出入・貿易」「BtoC の越境ECサイト」などクロスボーダービジネスにおける 「企業の DX」「顧客体験価値」を圧倒的に加速・向上させる革新的なサービス登場!日本初、レート保証型外国為替を活用したプラットフォームサービス提供
NTTコミュニケーションズ(NTT Com)のイノベーションセンタープロデュース部門が手掛ける「FinTech」は、日本初のレート保証型外国為替を活用したサービスだ。国をまたいだクロスボーダーのビジネスを支援するとともに、エンドユーザーに対しては初めての国でも自国通貨で安心して決済できるという新たな顧客価値を提供する。すでに、国内発唯一の国際ブランドであるジェーシービー(JCB)、沖電気工業(OKI)との協業など、NTT Comのサービスを活用した、さまざまな顧客との共創による新しいビジネスが続々と生まれ始めている。
顧客企業のDXを圧倒的に加速
NTT Comイノベーションセンタープロデュース部門長の東出治久氏は、同部門が展開する新しいFinTechサービスについて、「通貨というデータの流通、為替レートを保証したオンライン両替でのデータ価値交換により、新しい常識を創出するFinTechを提供します。これにより『B(NTT Com)to B(顧客を持つ法人) to X(エンドユーザー)』のCenter B ビジネスにおける「顧客体験価値」を格段に向上させることが出来、お客さまビジネスの DX(デジタルトランスフォーメーション)を圧倒的に加速します」と話す。
NTT ComのFinTechの主要なサービスは、現時点「Home Currency Anywhere(HCA)」と「Wallet Exchange(WEX)」だ。さらに、NTT Comが掲げる「Smart World(スマート・ワールド)」を具現化する共創ノウハウを活用し、顧客やパートナーとともに、新しい価値を作り出している。
日本人は円、アメリカ人はUSドルで
世界中どこでも 誰しもに分かり易い新たな顧客体験価値を提供
HCAは外国為替レートおよびリファンドレートを一定期間保証するオンライン外国為替情報と取引情報のデータ流通サービス。シンガポールのパートナー企業と連携し、WEXの一定期間レート保証型外国為替APIという要素機能を開発したが、「その機能が欲しい」という反響があり、HCAと名付けて2019年11月から提供を開始した。
HCAは、顧客を持つ法人のビジネスに対し、「自国通貨表示/決済」というクロスボーダービジネスで新たな顧客体験を付け加え、ビジネス成長の力強い原動力となる。
イノベーションセンタープロデュース部門 主査の友田光哉氏は「日本人にとっても、外国人にとっても、不慣れな外貨で表示されているモノやサービスを外貨で決済するよりも、自国通貨で表示・決済することがベストな体験になるはずです」と話す。また、HCAはリファンドレート保証という他にはない機能を併せ持つ。
また、HCAは全機能をAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェイス)で提供することができる。既存のシステムと柔軟に連携できるAPIを組み込むことで、「店舗システム」「ECサイト」「スマートフォンアプリ」「企業システム」などあらゆる場面での利用が可能だ。現在、「BtoB の輸出入・貿易」、「BtoC の越境ECサイト」を展開しているお客さまへ、新たな顧客体験を提案している。
WEXにより日ごろ使い慣れた自国の電子マネー残高を
HCAを用いてオンラインで外貨両替し、
訪問先の海外電子マネーに24時間いつでもチャージ
一方、WEXは、電子マネー間で「チャージ残高」を行き来させることができる電子マネー事業者向けのプラットフォームサービスだ。「マイレージのポイントを共通化している『航空アライアンス』の電子マネー版が概念としては近いが、WEXの提供価値は『体験』である」(友田氏)という。
例えば、空港の両替所にある長蛇の列に並んだり、初めて訪れる国で、外貨にどれだけの額を両替すればいいのかわからない、といった悩みは外国を訪れる際に多くの人が直面する。WEXを使えば、日ごろ使い慣れた電子マネーの残高を、訪問国で使える電子マネーに24時間いつでもチャージし、足りなくなったら追加できる。
WEXの利用者が、訪問先の国の空港に到着後、そのまま鉄道やタクシーを利用し、スマートフォンで決済できる。目的地に到着後も、買い物や飲食などのサービス利用も使い慣れた電子マネーで決済することが可能。2週間以内なら、両替時のレートで自国通貨に戻すリファンドレートも、HCA同様に提供する。
電子マネー事業者はWEXによって、海外の事業者と相互連携することで、エンドユーザーや加盟店舗に対するサービスを充実させ、会員や加盟店の数を増やすことが期待できる。
WEXは「地球の歩き方体験」に革命をもたらす手段であり、まずは、MaaS(モビリティ・アズ・ア・サービス)系の電子マネー事業者を中心に連携を模索する。ASEAN(東南アジア諸国連合)でWEX経済圏を構築することを最初のマイルストーンに据えている。
B to Bのクロスボーダ-ビジネスを強力に支援
JCBやOKIなど商用化へ向けた動き加速
HCA/WEXは日本国内でビジネスモデル特許を取得し、国際特許も申請している、NTTグループを含め、国内外のパートナー企業とともに、BtoBのクロスボーダービジネスを中心に、新たな常識を世界に広める取り組みが進んでいる。
現在、多くの顧客やパートナー企業とNDA(秘密保持契約)を締結し、HCAのPoC(実証実験)に取り組んでいるが、すでにリリースへ向けた計画を公表する案件も出ている。
その1つが、国際ブランドのJCBが2021年中にもリリースを計画している「JCB Mobile Wallet(仮称)」で、世界初の外貨為替レート保証付き多機能モバイルウォレットだ。JCBブランドのバーチャルプリペイドカードをアプリ上で即時発行でき、キャッシュレス決済やモバイル上での送金、アカウントの利用可否設定、優待店のマップ検索などの多彩な機能を持つ。
留学生やビジネスパーソン、在留外国人などを想定して提供するマルチカレンシーサービスも特徴だ。22の通貨に24時間いつでも両替可能で、「期間保証」と「リアルタイム」の2つから両替レートを選択できる。「期間保証レート」は14日以内であれば、使わなかった外貨をもとの為替レートで自国通貨に戻すこともできる。
JCBとNTT Comは2020年10月から実証実験を実施。セキュリティ対策を講じたうえで、2021年中の日本およびアジア圏での商用化を目指し、サービス開発を進めている。また、電子マネー(モバイルマネー)のオンライン接続や残高交換を実現するNTT ComのWEXとも連携し、利用シーンの拡大を図る計画も視野に入れている。
次に、OKIの製品にHCAを組み合せた新サービスの共同開発だ。OKIの店舗変革ソリューション「Enterprise DX」のサービス変革ソリューション「SDBC(スマートデバイスビジネスコネクター) 」を経由し、ストアフロント変革ソリューションのセルフ端末用ミドルウェア「CounterSmart(カウンタースマート)」上でNTT Comの「HCA」を利用した、自国通貨をその日のレートで使用するさまざまな利用シーンに活用可能なセルフ端末向け新サービスの開発検討を進めている。
OKIは、「SDBC」「CounterSmart」を店舗デジタル変革ソリューション「Enterprise DX(エンタープライズ・デジタルトランスフォーメーション)」を構成するソリューションのひとつである「ストアフロント変革ソリューション」の新商品として展開している。
B to Bの輸出入・貿易など
クロスボーダービジネスで活用
海外向け販売を行うECサイトにおけるHCA活用のケースでは、多言語・多通貨(自国通貨)で商品を販売する際、米国の消費者向けにUSドルで商品価格を提示できるメリットがある。
また、外食チェーンで活用されているテーブルオーダーシステムでも、外国語のメニューについて、価格を外貨表示できる。すでに飲食店向けのセルフオーダーシステム「メニウくん」を中心とした飲食店向け無人化・省力化システムの提供を行うワールドピーコムと連携し、フードデリバリーなどの新サービスに組み込み、外国人客を取り込もうという動きもある。
さらに「B to Bの輸出入・貿易」を手掛ける企業とも、共創ノウハウを活用した新しいビジネスの展開を進めている。これまで、輸出入のビジネスでは、どの取引先の自国通貨でもない「USドル」で価格表示・決済を行うのが慣例だった。HCAを活用し、それぞれの取引先の自国通貨での価格表示・決済に置き換えることで、為替リスクがない分かり易い新たな顧客体験を創り上げることができる。
NTT Comは、「BtoBの輸出入・貿易」を展開する企業に対し、具体的な提案を進めている。この顧客企業には20ヵ国以上の取引先があるが、価格表示や決済は「USドル」で行っているという。HCAを利用して取引先ごとの自国通貨の価格表示・決済に置き換えることで、「①従来のUSドルでの取引から分かり易い自国通貨での取引が出来るため”顧客体験価値が向上”、②BtoBでは「契約」してから「支払」が月末締め/翌月末払いなど期間があり、 その間に発生していた為替変動リスクをHCAにより契約時点で為替レートが確定ができるため、契約時に「自社は売上」を「取引先は仕入値」が決まるため財務的な”ビジネススピードが向上”」といった自社にとっても取引先相手にとってもベストで、業務の大幅な効率化が期待できるという。
「貿易はUSドルでの価格表示・決済が当たり前という概念が強いが、HCAがその既成概念を取り払い、新たなビジネスの可能性を提供することができます」(東出氏)
このほかにも、国際機関や学会などの会議を誘致するMICEに積極的な観光事業者が、コンベンションセンターなどでの国際イベントに来場する外国人に自国通貨支払いでもてなすことによる滞在体験価値の向上を目指している。
観光産業は、新型コロナウイルスが感染拡大し、海外との観光交流が停滞している状況で、インバウンド需要がほとんど期待できず、国内観光も足踏み状態という厳しい環境に置かれている。しかし、東出氏は「こういう時期だからこそ、インバウンド需要が戻ったときに備えて、しっかりと設備投資をしておこうという観光事業者も少なくありません」と話している。
パートナー企業との共創 / DXを推進
「HCA/WEX」は顧客やパートナー企業との共創により「Smart World」における様々な業種業態でのCX向上とDX化の新たな価値を生み出す。スマートワールドのスマートとは、「情報を高いレベルで処理・管理・制御できる能力を備えている」という意味。つまりスマートワールドとは、ICT(情報通信技術)を駆使して多種多様なデータを蓄積し、それらを利活用して既存の方式を改善したり、新たなシステムや技術、サービスを構築したり導入したりすることで、社会が直面している様々な課題を解決し、よりよい環境を作り出していくこと、または、そうした取り組みの総称だ。
2021年からは、「HCA/WEX」を活用したサービスが続々と開始されるが、「Smart World」における新たな価値を生み出し、決済や流通の未来を変える「明日の新たな常識」を創出するFinTechサービスとなることに期待したい。
■お問い合わせ先
NTTコミュニケーションズ
イノベーションセンター プロデュース部門
E-mail xtech@ntt.com
URL https://www.ntt.com/about-us/press-releases/news/article/2019/1112.html