2021年3月9日
マルチ決済プラットフォームが高評価を受ける理由とは?
コロナ対応、POS/KIOSK連携を軸に事業をさらに拡大
マーチャント向けペイメントシステムの開発・運用などを手掛けるVesca(べスカ)は、強みとしているPOSや上位機種と連携したキャッシュレス決済を軸にソリューションの幅を広げる一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に対応した消費者の「3密回避」志向でニーズが高まっているセルフ型のKIOSKシステム向け決済ソリューションを強化する方針だ。
マルチ決済プラットフォーム
「アーク」のニーズ高まる
ベスカの中核事業は、キャッシュレス対応を支援するマルチ決済プラットフォーム「Ark(アーク)」と顧客囲い込みを実現するプラットフォーム「Seeds(シーズ)」を活用した、マーチャント向けペイメントとマーケティングソリューションの展開だ。
アークは、POS/KIOSK会計機との連携を前提とした決済ソリューションに対応することが特徴。2017年2月から市場で運用を開始し、数多くのPOS/KIOSKと連動し稼働中だ。クレジットGWセンターと各種端末アプリケーションはベスカが開発・保守・問い合わせ対応を担う。機能追加やカスタマイズに柔軟に対応することができる。また、POSベンダーやセルフ会計機ベンダーへの連携支援やサポートも充実している。
アークは、世界屈指の端末メーカーであるVerifone(ベリフォン)社製のマルチ決済端末を基軸に、利用シーンや顧客ニーズに合わせた最適な決済ソリューションを提案する。クレジットカード・電子マネー・QRコード決済・ハウスポイントやプリペイドサービスなどのマルチ対応の決済端末に関し、決済端末の単体導入はもちろん、POSや精算機との連携・組み込みを得意としており、顧客のニーズに合ったソリューションを提供する。
OCX(Windowsにおけるアプリケーション間でデータを連携する技術であるOLEを利用して、特定の機能だけを組み込むこと)やSDK(アプリケーション開発で機能の実装に利用できるソフトウェア開発キット)を活用し、短期間での実装を可能にしている。各種決済の売上データ連携も行っているので、将来的なマーケティングデータとしての活用も可能だ。
ベスカ 取締役 福田省吾氏は「高いトランザクションでも信頼性が高く、外食チェーンやスーパーなどで採用が増えています。パートナー企業も増えており、ニーズの高まりを実感しています。『他社の端末ですと電子マネーの検定のハードルが高い』などのさまざまな課題の解決を求めて、当社に相談していただき、システムを切り替えていただけるお客様が増えています」と成果を述べる。
Verifone社製のマルチ決済端末は現在3種類。最新機種の「V400m(モバイル型)」は、持ち運び可能なプリンタ付き・バッテリー搭載の決済端末としては業界最小クラスのコンパクト設計で、持ち運びのしやすさを追求している。
POSシステムやタブレットなどの上位機器とWi-Fiを通じて安定した連携が可能だ。Vesca JS(JavaScript)などの連携モジュールでスピーディーな開発をサポートする。クレジット(磁気、IC接触、IC非接触)、電子マネー(準備中)、QRコード決済、ハウスプリペイド、ハウスポイントに1台で対応できる。
「V200c(据置型)」は、プリンタ付きの据置型で、端末1台で利用できるタイプのマルチ決済端末。クレジット(磁気・IC接触・IC非接触)、銀聯、電子マネー、QRコード決済、プリペイド、ポイントなどさまざまな決済に対応している。
有線ケーブル(シリアル、LAN)だけでなく、Wi-Fi接続も可能な利便性の高い端末。PC-POSはもちろん、タブレットPOSとの連携も可能だ。POS連携時に決済端末側で電子マネーブランドを選択することにより、電子マネーのブランド検定対応を大幅に削減することも期待できる。
「P400(PINパッド型)」は、POSレジ連動の専用端末だ。POSからの情報連携を前提に設計され、高トランザクションにも対応可能なPOS連動専用機。POSからの情報と連携し外回り決済を実現可能だ。
多種多様な店舗でセルフ決済が拡大
さらに、新端末として、タブレットやスマートフォンとの連携を実現する「e280(ポケット型)」を今年の秋のリリースに向けて準備している。例えば、アパレルの店頭で接客している店員が、来店客が気に入ったその商品を、ポケット端末でのキャッシュレス決済にその場で即座に応じることができるようになるなど、決済のバリエーションを増やすことができる。
政府のキャッシュレス決済推進政策でキャッシュレス決済の普及が進んだうえ、コロナ禍で非対面型の決済が好まれる傾向が強まり、決済プラットフォーム「アーク」のソリューションの中で、自動精算機(KIOSK)との連動性を求めるニーズが高まっている。
最近では、スーパーマーケットのセミセルフレジや飲食店の自動券売機、ネットカフェの自動精算機のほか、クリニック、薬局、サロン、温浴施設などさまざまな業態で採用が増えているという。
ベスカならではの機能として、POS要求と連動しJIS2情報の読み取り、FeliCa R/Wコマンドの実行が可能だ。業務機能はPOS実装、カード操作はP400で実施。クレジットのPAN部分は上6桁下4桁以外はマスクされPOSにクレジット番号を応答することはないため、決済は外回りを実現しながら会員カード情報を処理したい企業から好評だという。
さらに、アークのソリューションを活用すれば、e280リリース後は、1度の開発で4種類の端末を組み合わせて使うことができる。例えば、高級ホテルでは、客室でポケット端末を使った決済や、レストランでのテーブル決済、フロントでの会計処理など、それぞれのシチュエーションに合った端末を使用可能だ。
国内向け端末の品質改善が
国際標準に採用も
また、国内向けVerifone端末の品質向上を実現していることも、顧客からの信頼を高めている要素の1つだ。その背景には、Verifone社、ベスカ、大手POSベンダーなどのパートナー企業との間での緊密な連携がある。2017年の市場投入から400項目近い品質改善を実施した。
最近の改善例では、カードスワイプ時の障害物との接触を防ぐため、スライダーの高さを従来機よりも3ミリ上昇させたケースや、音量上限を向上させるため、内蔵スピーカーのワット数を増やしたケースなどがある。また、水滴の侵入を防ぐため、ラバーキーパッドのホール部分を埋める対応や、ディスプレイ側面のホール部分を埋める対応などを実施し、品質の改善に貢献している。福田氏は「こうした細部にわたる品質改善により、国内向けのVerifone端末の品質向上が実現し、それが国際標準として採用されるケースもあります」と語る。
多彩なマーケティング機能を提供
一方、ペイメント&マーケティングプラットフォーム「Seeds」は、多彩な機能をニーズに合わせて組み合わせられるのが特徴だ。ペイメントサービスは、プリペイド、ポイントの単独サービスのほか、プリペイドとポイントを組み合わせた機能も提供する。ポイント・プリペイドは、実店舗やECサイトで利用可能なハウスポイント・プリペイドサービスを導入できる。プレミア特典、キャンペーン、クーポン、残高照会、集計・履歴などの機能も選べる。
期間限定サービスは、新店舗のオープン時や連休、セールなど、期間を指定してポイント付与率などの設定を追加できる。キャンペーンは目的に合わせた、店舗別・金額別などの設定を追加することでキャンペーンを企画することができる。クーポン発行は、買い物に利用できる使い切りクーポンを発行することが可能だ。
プレミアム特典は、チャージ金額に応じたプレミアム付与や、プレミアム残高の個別管理・引き当て割合の設定が可能だ。集計・履歴管理は、任意の期間やカード状態、月次・日次、店舗別・端末別で集計管理ができる。ギフトカード運用は、プリペイドサービスをハウスギフトカードとして発行し、運用することができる。
会員管理サービス「COMPASS」は、会員登録、会員検索、条件抽出、メール配信、会員代行登録などの会員情報の一元管理でOne to Oneの最適なマーケティングが可能になる。
例えば、会員ランク機能は、期間ごとの累積購入金額に応じて、ゴールド、シルバー、ブロンズなどの会員ランクを設定できる。会員専用のマイページを提供しており、スマートデバイスからバーコード表示やプロフィール確認などができる。
オプションサービスとして、ECサイトやPOS・スマホアプリなどとの外部連携などを豊富に用意している。中でもアカウント認証のAPIでは1つのログイン認証で外部サービスを回遊することが可能になる。
福田氏は「今年1年は仕込みの時期です。まずは、POS連携の分野を極め、さらに、2022年以降の急成長に向けて、さまざまな新しいビジネスの構想を進めています」と意欲を示している。
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