本田技研工業

初年度年会費無料などの施策で「Honda Cカード」の入会者が増加
系列販売店にQRコード決済を一斉導入、キャッシュレス化に弾み

本田技研工業は、2020年12月に「Honda Cカード」のリニューアルを行った。券面をHondaらしさにこだわったデザインに刷新するとともに、初年度年会費を無料化し、ガソリンスタンドの利用でのポイント付与率やHonda車の購入時のポイント還元率を倍に引き上げるなどの施策を実施。新規入会者増と利用活性化につなげている。また、系列販売店のHonda Cars、Honda Dreamでは、複数のQRコード決済を一斉に導入。利用が順調に増えている。同社は、購入商品や購入シーンによって顧客が便利に決済手段を使い分けられる環境を用意することによって、キャッシュレス決済ニーズに対応していきたいとしている。

初年度年会費を無料化
ポイント付与率をアップ

本田技研工業は2020年12月、クレジットカード「Honda Cカード」をリニューアルした。

「Honda Cカード」はクレディセゾン、ジェーシービー(JCB)、三菱UFJニコスとの提携により1995年にサービスを開始した。“C”はキャッシュバックとチャリティの頭文字で、カード会員には利用額に応じてHondaキャッシュポイントが付与されると同時に、同社は毎年、年間総利用額に一定割合を課した額を日本赤十字社と日本ユニセフ協会に寄付している。系列店のほか、ETC、ガソリンスタンド、公共料金の支払いや日々のショッピングで貯まったポイントは、車両購入時や車検・12カ月点検時に現金に還元および、Hondaオリジナルグッズや楽天Edyに交換することができる。

「Honda C カード」を担当する左から主任 鮎川里香氏、チーフ 山口エリ子氏、
青木 奎介氏、主任 村中千英氏

今回のリニューアルでは、1,650円の年会費を初年度無料に(ゴールドカードは除く)。加えてポイント付与率を、出光昭和シェル、ENEOSのガソリンスタンド利用の場合、1%から2%に引き上げ。ポイント還元率についても、新車・中古車購入時には2P=1円から1P=1円へと倍に、楽天Edyへの交換では10P=1円から2P=1円へと5倍にアップした。また新たにボーナスポイントを設け、年間利用額40万円以上の会員には1,650ポイントを付与する。券面も同社デザイナーの手により刷新し、よりHondaらしさを強調したデザインにした。

「Honda Cカード」は、車両購入時や点検時に系列店の店頭で入会するケースが9割以上。初年度年会費が無料になり、特にJCBの場合には入会申込を済ませればその場で決済に利用できるという便利さも相まって、「販売店のスタッフから、非常にお勧めしやすくなったという声をいただいており、これまで新規会員獲得に積極的でなかった店舗も獲得に乗り出して、入会者が大幅に増加しています」(本田技研工業 日本本部 販売部 四輪業務管理課 主任 村中千英氏)。同社では新規入会やカード利用でポイントをプレゼントするキャンペーンなども展開。販売店の新規獲得を後押ししている。

カード会員の中心層は50代男性だが、近年は20代の入会も増えている。自動車会社のカードらしく、ガソリンスタンドやETCなど車回りでの利用が多い。

クレジットカード「Honda C カード」

 

販売店にQRコード決済を一斉導入
現金決済からの移行が進む

同社では四輪車販売のHonda Carsに2020年9月、二輪車販売のHonda Dreamに2021年5月、QRコード決済を一斉に導入した。Honda Cars、Honda DreamともにPayPay、楽天ペイ(アプリ決済)、LINE Pay、d払い、メルペイ、au PAY、銀行Pay、Alipay、WeChatPay、FamiPayやJ-Coin Payなど13種類を取り扱う。決済ゲートウェイ「ALSOK QRGate」との接続によりサービスを提供している。

これに先んじて独自にPayPayなどを導入して実績を上げていた販売店があったことを考慮して、「メーカーとしてスケールメリットを出し、決済手数料を抑えるとともに、個別に各Paymentと交渉する煩わしさをなくし主要Paymentを利用できるようにすることで、お客様のニーズに応えようと考えました」(本田技研工業 日本本部 営業企画部 CS推進課 担当者)

利用件数は月ごとに増加し、同社では導入の手応えを感じている。これまで現金で支払われていた主に少額の決済がQRコード決済に移行し、キャッシュレス化に弾みがついている格好だ。QRコード決済は販売店の中心顧客層、すなわち「Honda Cカード」の会員層である50代男性にも浸透している決済手段であり、「購入商品や購入金額によってQRコード決済とクレジットカードを使い分けているお客様が多く見られます」と村中氏は話す。

衛生面に加え、顧客利便性を向上し、販売店のオペレーション負荷を軽減するという面からも、キャッシュレス化を推進する意義は大きい。これからも常時決済環境の見直しを図っていきたいとしている。

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