長電バス

国内でいち早く観光路線でAmerican Express、JCB、Visaのタッチ決済対応
1割の利用者がキャッシュレスに、PayPayは若者を中心に利用が進む

長野の長電バスは、2021年11月18日から、長電バスの運行する急行バスの車内において、Visaのタッチ決済およびQRコード決済(PayPay、Alipay)によるキャッシュレスのセルフ決済を本格導入した。2021年2月25日から急行バス志賀高原線(長野駅~志賀高原間)に試験導入していたが斑尾高原線(飯山駅~斑尾高原間)にも追加導入した。12月4日には志賀高原線、同18日から斑尾高原線でAmerican Express、およびJCBのタッチ決済(JCBコンタクトレス)の取り扱いも開始している。

JCBとAmerican Expressは国内初
乗車場所、人数を指定して決済

長野電鉄子会社の長電バスでは、長野市内の路線バスでICカード「KURURU(くるる)」を導入しており、地域で浸透している。一方、観光路線の志賀高原線や斑尾高原線は、コロナ禍前にインバウンドの利用者が多かったため、タッチ決済やQR決済(Alipay)を導入したという。Visaのタッチ決済やQRコード決済については2019年から検討を開始し、実証実験を経て本格導入。American ExpressとJCBのタッチ決済に関しては、国内でいち早く対応を開始した。

QR コード決済の利用の様子

QRコード決済に関しては、国内外のさまざまなQR決済サービスに対応できるネットスターズの端末サービス「StarPay」を窓口で導入している。そうした中で小田原機器からのタッチ決済やQRコード決済に対応可能なタブレットの仕組みの紹介を受け、バス車内での対応を進めることとなった。バス車内では現金の支払いが多く、機器に紙幣が詰まってしまう課題があった。また。現金を取り出す時間などにより、乗車客を待たせてしまうこともあったため、キャッシュレス化を検討した。外国人観光客からは、クレジットカードやQR決済を使えないかという要望も受けていた。

キャッシュレス決済導入後は、1割ほどの利用者がキャッシュレス決済となっている。現状は、PayPayの利用が最も多い。PayPayは窓口でも使用でき、キャンペーンも定期的に行われていることから若い人を中心に使用されている。タッチ決済については、カード会社やメーカーからの評価として、他の交通事業者よりも利用が多いとの声があるが、「導入前は想定通りかもうちょっと多くなるとみていました」と、乗合バス課の鈴木立彦氏は打ち明ける。

決済の方法として、利用者は降車時に乗車場所、人数などをタッチで選択。金額がタブレットに表示されると、カードやスマートフォンをかざして支払いを行う。長電バスでは、乗車時、降車時にそれぞれタッチする仕組みが理想だったというが、オペレーションの都合で、同仕組みに落ち着いた。将来的には、「サービスを改良していただき、お客様がスムーズに降りられるのが理想です。観光路線は長距離移動のため、降車バスでのロスが少なく済んでおり、現状は大きな問題は発生していない。

また、バスではWi-Fiを利用しており、「無線回線が不安定になる事態が起きるのは避けられないイメージを持っています。そういう問題を解決しながら対応してきました」と鈴木氏は話す。

急行バス(長野駅~志賀高原間、 飯山駅~斑尾高原間)の車内でキャッシュレス決済

タッチ決済の利用拡大に期待
まずは2割の利用を視野に

長電バスでは、車内にタッチ決済やQR決済の使い方を紹介したチラシを設置。降車時に支払いを行うため、乗車後にキャッシュレス決済が利用できることを知る人もいるそうだ。

今後はタッチ決済の利用者拡大を期待している。欧米はタッチ決済が浸透しているため、インバウンド需要が戻ってくれば比率が高まると考えている。当面はコロナ禍で日本人の利用が中心だが、その比率をさらに高めていきたいとした。鈴木氏は「導入時にVisaから話をお聞きした時にはタッチ決済対応カードは1割前後ということでしたが、2割まで増えています。メディアにも取り上げていただいていますので、志賀高原、斑尾高原に行けばタッチ決済が使えると伝われば、さらに増えると思います」と期待する。

キャッシュレスのセルフ決済が可能に

今回、国内のバス事業者でいち早くAmerican ExpressとJCBのタッチ決済にも対応。2~3年後は、各ブランドのタッチ決済搭載カードは大幅に増えると予想され、他ブランドへの対応も進めていきたい考えだ。

また、精算などの都合上、現在はQRコード決済に対応しているのは2ブランドのみだが、窓口では複数決済に対応しており、将来的には種別を増やしていきたいそうだ。

なお、観光路線の乗車券はコンビニでも事前に購入できるが、今後は、タッチ決済やQRコード決済を含めて、キャッシュレス決済が2割を超えれば次の目標が立てやすいとした。

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