薬王堂

ポイント&プリペイド「カードレスWA!CA」発行開始
デジタル会員化を推進し、マーケティング活用へ

薬王堂は、2022年1月24日から、薬王堂のポイントとプリペイド機能を持ったプラスチックカード「WA!CA(ワイカ)」について、プラスチックカードの発行をしなくても、薬王堂公式アプリで活用できる「カードレスWA!CA」をスタートさせた。173万人のプラスチックカード会員もデジタル会員に移行することができる。ポイントとプリペイドの展開で得意客の囲い込みに成果をあげた薬王堂が、会員のデジタル化でマーケティング戦略を本格化させる。

売上に占めるワイカ率35%に
優良顧客の囲い込みに成功

ワイカは2017年、「薬王堂ポイントカード」をリニューアルして再スタートした。これまでのポイントカードとしての機能に加えて、プリペイド(前払式)機能も備えた新しい「プリペイドカード機能付きポイントカード」。入会金・年会費無料(紛失時再発行無料)で、発行元(イシュア)は出光クレジット。12歳以上から利用することができる。薬王堂で買い物をすると、買上金額 200 円(税抜)ごとに 1 ポイントが貯まる。300ポイント貯まると500円分の支払いの一部として利用できる。プリペイド機能付きなので、事前にチャージ(入金)して支払いに使える。チャージ金額 1,000 円ごとに 3 ポイント、5,000 円以上で15ポイントにボーナス5ポイントが上乗せされる。1万円以上で30ポイントにボーナス15 ポイントが貯まる仕組みだ。

薬王堂 取締役常務執行役員 経営戦略本部長 西郷孝一氏

また、買えば買うほど、翌月がお得になるシステムを提供している。月の買い物金額に応じて、ゴールド会員(当月買い物金額1万円以上)、シルバー会員(同5,000円以上)、ブロンズ会員(同5,000円未満)となり、翌月はゴールド会員がポイント3倍、シルバー会員がポイント2倍となる。また、60 歳以上限定で発行される「おでかけカード」は、1日一回買い物するだけで、3ポイント貯まる。

薬王堂は東北6県に358店舗のドラッグストアを展開する。ワイカにより、ロイヤルティの高い得意客の囲い込みに成功しており、東北地域では高いシェアを維持している。薬王堂 取締役常務執行役員 経営戦略本部長 西郷孝一氏は「大手事業者の電子マネーの導入を急がず、先行してワイカというハウスマネーを導入し、ユーザーを育成する戦略が上手くいった。今は電子マネーや大手事業者の電子マネーや主だったQRコード決済を導入していますが、ワイカの利用率は35%程度と高い比率を維持しています。キャッシュレス比率が50%強なので、ワイカ以外は10%程度で、手数料支払いによるキャッシュアウトを低く抑えることができています」と話す。

薬王堂ポイント&プリペイドカード 「WA!CA」

健康アプリでデジタル会員の獲得を狙う
20%~30%のアプリ利用率を目指す

薬王堂は2022年1月24日から、ワイカを薬王堂公式アプリからプラスチックカードなしで発行できるサービスをスタートした。ワイカは、ポイントカードとして173万人が利用しており、プリペイドカードの利用は93万人にのぼる。今回のカードレス化によって、全カード会員はデジタル会員に移行することが可能で、新規会員も登録できる。

薬王堂公式アプリはWA!CA 電子マネーの利用のほか、お得なクーポンがもらえたり、薬王堂の情報を入手できるアプリ

アプリからプラスチックカード無しで新規発行できるサービスを展開したのは東北拠点のドラッグストアで初めて。カードレスWA!CAのメリットは、プラスチックカードを持ち歩く必要はなくなり、カードの紛失を心配することもない。また、スマートフォンの機種変更を行うときも、アプリを簡単に移行することができる。会員のデジタル化によって、顧客ニーズへの対応を加速させる方針だ。

プラスチックカードの登録は、店頭で登録票を書く必要があったので、買い物客と店舗スタッフの双方が、時間を取られてしまう面があった。アプリ上での登録は、店頭に来なくてもできるメリットがある。いつも来店してくれる得意客だけでなく、薬王堂に足を運ぶことが少なかった、または、来たことがない人にも訴求することができ、新規顧客の獲得にも期待ができる。

「東北から世界の健康をデザインする」を新ビジョンに掲げる薬王堂グループとして、健康のために歩くことを推奨するため、歩くと、お得なインセンティブがもらえる「歩数計」をアプリ内に搭載した。5万歩ごとにくじ引きができ、当たりくじにはWA!CAポイントや商品サンプルクーポンなど、お得なくじを提供する。

スマートフォンアプリ「viewty(ビューティー)」を展開するNoveraと連携し、取得した顔データから肌に関するAIやアルゴリズムを駆使し、外見と内面をサポートする「AI肌診断」を搭載した。顔を撮影するだけで、手軽にどこでも肌診断ができることが特徴だ。ハリ、キメ、UVダメージ、透明感、うるおい、毛穴、肌質の7項目で肌の状態を診断する。診断結果をもとに、AIがユーザーに合った化粧品を提案する機能(AIレコメンドエンジン)を搭載している。

アプリの利用はまだ10%程度だが、20%~30%への利用率の引き上げを目指している。会員のデジタル化によって、個人は特定できないがある程度のID情報を入手できるので、マーケティング分析に活用する。花王出身の西郷氏は「小売業のなかでは、薬王堂が持つデータは整っていて、分析に使いやすいデータであると自負しています。会員のデジタル化でさらに有意なデータを収集し、さまざまな活用のアイデアを実用化していく方針で、ビッグデータ活用で小売業のモデルケースを目指します」と意欲を示している。

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