2017年3月9日6:26
仙台市・熊本市の郵便局・ゆうちょ銀行でVisaプリペイドカード「mijica」を発行
若年層でも利用できるカードとして、口座の活性化につなげる
ゆうちょ銀行と日本郵便は、2017年1月23日から、仙台市・熊本市のmijica取扱郵便局・ゆうちょ銀行において、Visaプリペイドカード「mijica(ミヂカ)」の発行を開始した。まずは、仙台市・熊本市内の中心部商店街、小売店などが参加。同カード発行の狙いについて、ゆうちょ銀行の担当者に話を聞いた。
幅広い年齢層を対象にカードを発行
地域経済の活性化につなげる
「mijica」は、ゆうちょ銀行のキャッシュカードを保有している 12 歳以上の人(小学生を除く)であれば誰でも保有することができる。カードへの残高チャージは、定時・定額の指定日チャージ、スマートフォンを活用しての都度チャージおよびポイントチャージに対応している。また、そのほかのチャージ方法についても検討している。
今回のサービス開始に向け、国内では現金決済が中心だが、金融機関としてもキャッシュレス化を進めることは意味があると考えた。これまで、国内のキャッシュレス化ではクレジットカードがメインプレイヤーだったが、審査が必要な商品であり、中高生などは基本的に持つことが難しかった。また、仮にクレジットカードを保有できる人でも、持ちたくない人も存在する。そのため、「幅広い年齢層の方に対して提供でき、クレジットカードを敬遠される方にも受け入れやすいプリペイドカードに着目しました」とゆうちょ銀行 営業部門 営業統括部 担当部長 橋本佳和氏は話す。
ブランドプリペイドカードを選択したのは、世界4,000万店の既存のVisaネットワークを活用できるため、加盟店を1から開拓する必要がなく、店舗も既存の端末でサービスが提供できるのも大きかった。
mijica発行のコンセプトの1つとして地域振興が挙げられる。カードの保有者が店舗に足を運ぶ機会が増えれば、地域経済の活性化につなげることが可能だ。ゆうちょ銀行では、展開地域の選定に向け、複数の地域の商店街などと話を進めてきたが、まずは仙台市・熊本市で試行サービスを開始することとなった。
ゆうちょ銀行がイシュア(カード発行会社)となり、カード発行業務等はクレディセゾンに委託している。利用者は、Visa加盟店でmijicaを利用すると、利用金額2,000円につき、クレディセゾンの「永久不滅ポイント」が1ポイント、地域に密着したポイント優遇店ではさらにポイント優遇(2倍、一部店舗は3倍)される。クレディセゾンにとっても、永久不滅ポイントプログラムを初めてプリペイドカードに提供する事例となった。
現状ではポイント優遇店として、両地域のファミリーマートやパルコ、仙台のサンクス、さくら野百貨店、DUCCA、ヤマダ電機、藤崎百貨店、仙台三越、熊本のSUNNYなどが名を連ねているが、「今後もその数を増やしていきたいですね」と営業統括部兼経営企画部 グループリーダー 堤和成氏は意気込む。優遇店では事前に端末番号を連携すれば、その後は特別な手続きは必要なく、ポイントの優待が可能だ。なお、貯まった永久不滅ポイントは1ポイント5円相当でmijicaへのチャージ等に利用できる。ゆうちょ銀行では、利用者に対して地域店舗の情報を通知するなどして、各店舗への送客に努める。
そのほか、カード利用後、登録したメールアドレスへの利用通知メールの送付や、会員サイトからカードのロックや解除が可能な機能を提供するなど、利用者の安全性も意識している。
仙台、熊本で1万枚以上の発行を目指す
将来的な資産形成につながる可能性も
すでに1月23日からサービスはスタートしたが、ゆうちょ銀行では2017年6月30日までの入会手続き完了で、もれなく500円分のチャージをプレゼントする「mijicaご入会キャンペーン」を実施するなど、サービスの告知に力を入れている。
まずは仙台、熊本の両市あわせて1万枚以上のカード発行を目指す。また、今回の試行の中での課題を洗い出し、サービス内容は随時拡充させていく方針だ。同時にmijicaのコンセプトに賛同した地域があれば、ほかの街でも展開していきたいとしている。今回の熊本の展開では日専連ファイナンスの協力を得たように、「各地域における展開においては、地場の商店街やカード会社と連携する形で進めていきたい」と、橋本氏は話す。
ゆうちょ銀行にとって、今回のmijica発行は利用者との接点を深める目的もある。mijicaと紐付く口座の活性化はもちろん、将来的な資産形成につながると期待する。また、プリペイドカードは家計管理に役立つツールでもあり、「おこづかい・家計簿アプリ」を提供することで、その利便性を訴求していく方針だ。