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DNPマルチペイメントサービス接続の決済専用端末発表
顧客操作型端末も開発中

「DNPマルチペイメントサービス」拡張の2点目は、対面決済用端末のリリースだ。

ICクレジットカードに対応し、外回り方式でカード情報非保持化を実現するサービス一体型の専用端末。台湾に本社を置き、いち早くMasterCard コンタクトレスやVisa payWaveへの対応を行った、カード決済端末や非接触ICカードリーダーのグローバル企業、Castles Technology Co.,Ltd.(キャッスルテクノロジー社)の「VEGA3000 Touch」を採用した。

対面決済用専用端末「VEGA3000」は多彩な決済に対応する

2018年3月にリリースするのは、据置型とモバイル型。いずれも性能は同じで、磁気カードリーダー、接触型ICカードリーダーライター、非接触型リーダーライターと、レシートプリンターが実装されている。国内で普及する「FeliCa」にも対応する。吉田氏は、「海外製の端末でTMNのセンターに接続する初めての端末となります」と説明する。モバイル型は、外商担当者などが携帯することを想定している。

1カ月ほど遅れて4月以降、“P”と呼ばれるPINPAD(ピンパッド)タイプもリリースされる予定だ。こちらはPOS連動を前提としており、レシートプリンターは付いていない。その分重量も軽く、費用も安価となっている。

そして、サービス拡張の3点目は、無人対面決済に対応する、顧客操作型の決済端末である。今後の労働者人口の減少を見越して、商業化に向けて開発中だ。

キオスク端末などに対応した組み込み型で、磁気カード、接触型ICカード、非接触型ICカードの各決済機能を搭載しており、EMVやPCI PTS等認定も取得済みである。

「DNPマルチペイメントサービス」は、決済環境の変化や加盟店のニーズに応えて、順次拡張を加えていくというのが、スタート当初からのスタンスだ。決済手段、決済端末ともに、今後も随時、拡張を図り、常にニーズの高い決済シーンに最適な環境、ツールを用意・提供していく。

スーパー、ドラッグストアなどで導入進む
改正割賦販売法施行に向け、引き合い相次ぐ

「DNPマルチペイメントサービス」は主に、数十店舗から数百店舗をチェーン展開しているスーパーやドラッグストアなどへの導入をもくろむ。

今春のサービス拡張に当たって、DNPでは新たな導入先の拡大に力を入れている。現状、食品スーパー、ドラッグストア、ホームセンター、百貨店、オフィス内の売店などから引き合いがあり、導入に向けて検討中だ。

改正割賦販売法により大型店には2020年3月までにICカード対応を完了することが求められているが、それに先駆けて2019年10月には消費税率アップが待っている。どちらにしてもPOSの改修が必要となれば、一度にまとめて改修しようという加盟店も多いはずだ。

「昨年と比べて、法対応と多様化する決済手段への対応、その両方の必要性を強く感じるようになっている加盟店様が増えてきています。システム改修までの準備期間を考えると、もうアクションを起こすべき時期にきていますので、そろそろ受注が一気に増えるだろうと、われわれも気を引き締めているところです」(大日本印刷 情報イノベーション事業部 C&Iセンター マーケティング・決済プラットフォーム本部 マルチペイメント企画開発部 部長 西田真氏)

大日本印刷 情報イノベーション事業部 C&Iセンター マーケティング・決済プラットフォーム本部 マルチペイメント企画開発部 部長 西田真氏

2018年秋ごろが改修着手のラッシュになるだろうと、DNPでは見ている。そして、それに対応できる基盤をDNPでは用意している。

IoTサービスの情報を守るIoSTを決済に
無人対応機器でも安全な決済が可能に

これからの決済は、店舗内で行われるだけのものではなくなる。決済の次のステップは、自販機、券売機などの無人対応機器へ。2020年の東京オリンピックに向け、無人のIoT(Internet of Things:モノのインターネット)機器が増えていくだろう。「DNPマルチペイメントサービス」は、そこまでを視野に入れている。

2020年には工場の機械から冷蔵庫まで、300億個のモノがインターネットにつながるといわれている。しかし、今世界では、ハッキング、サイバーテロといった被害が相次いでいる。大日本印刷 情報イノベーション事業部 C&Iセンター IoSTプラットフォーム本部 IoST企画開発部 部長 大島真一郎氏は、「IoTが社会インフラになるためには、セキュリティ対策の強化が必要不可欠です」と語気を強める。

大日本印刷 情報イノベーション事業部 C&Iセンター IoSTプラットフォーム本部 IoST企画開発部 部長 大島真一郎氏

そこでDNPが提案しているのが、IoTにセキュリティの考え方をプラスした、IoST(Internet of Secure Things)である。従来のICカードを使った “ヒト”を認証するシステムとノウハウを、“モノ”の認証に応用。これまで蓄積してきた技術、設備、ノウハウを活かして実現する、DNPならではのソリューションといえる。

DNP は、IoT にS( セキュア) を追加

IoTでは、デバイスから吸い上げたデータをインターネットを経由してクラウド上に蓄積、分析や機械学習した後にまたインターネット経由でデバイスに戻す。これまでもクラウド側、ネットワーク側それぞれにセキュリティ対策は講じられてきた。しかし肝心なのは、データの入り口となるデバイスそのもののセキュリティ対策だ。これが守られていないと、正しい情報が収集できないばかりか、ネットワークやデータベースが攻撃されてしまう恐れがある。

DNPのIoSTでは、IoTデバイスに暗号鍵と証明書を格納したSAM(Security Account Manager)を組み込み、IoTサービスのクラウドをIoSTプラットフォームに連携することで、デバイスの認証を強化し、通信環境に依存しないEnd to Endの情報セキュリティを実現する。鍵・証明書の更新は、IoSTプラットフォームから遠隔操作で行うことが可能だ。

IoSTプラットフォームは現在、金融機関の現金処理機、出納機等の遠隔監視に導入されており、高いセキュリティ環境下での機器の遠隔監視、稼働ログ分析を可能にしている。

「自動車メーカーや、機密文書のデータ等が蓄積される複合機のメーカーなどからも、引き合いをいただいています。そしてもう1つ、導入のニーズが高いのがPOS端末や自動販売機などの決済端末だと考えており、『DNPマルチペイメントサービス』と連携してサービスを展開していきたいと考えています」(大島氏)

西田氏は、「決済端末の稼働状況をリアルタイムで把握することによって、消耗品の自動発注などにもつなげることができます。店舗の中でも、外でも、便利に安全に決済が行える環境を整備していきます」と意気込みを見せる。

IoT における“IoST” の位置づけ

加盟店の収益向上を強力に支援
全方位対応で加盟店を強力にバックアップ

「DNPマルチペイメントサービス」は、ICチップのOSの開発、決済プラットフォームの構築、決済業務のオペレーション、クレジットカードのプロセッシング、加盟店のマーケティング支援と、多方面から決済にかかわり、インフラ、システム、オペレーションのすべてについての知見と経験を有するDNPならではのサービスである。

さまざまなノウハウを組み合わせ、一連のサービスとして提供することができるので、加盟店は業務ごとに複数のベンダーに発注する必要がなく、コストを抑えながらスムーズに運用することが可能だ。

河西氏は、「決済から、データの収集・分析、マーケティング支援までを一気通貫でご提供することによって、加盟店様の収益向上を支援します」と自信を見せる。

「DNPマルチペイメントサービス」は、2018年度更なる拡張を予定している。マルチ決済対応、決済端末提供、IoSTによるセキュリティの充実など、着々と準備を整えており、2018年以降は導入が加速することは間違いなさそうだ。

■お問い合わせ先
大日本印刷株式会社
〒162-8001 東京都新宿区市谷加賀町1-1-1
TEL : 03-3266-2111
http://www.dnp.co.jp/

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