道南バス

全国の路線バスで初めてWeChat Pay「チケット購入システム」を検証
中国人観光客の利用も好評で、運転手の負荷も軽減

北海道運輸局および北海道運輸局室蘭運輸支局では、観光地の消費拡大、交通利便性の向上、医療費の未払い対策の分野で、新たな決済手法の導入に向けた実証事業を実施している。道南バスでは、2018 年11 月19 日から2019 年2 月28 日まで、登別温泉エリア(登別駅前⇔登別温泉エリア)、および洞爺湖温泉エリア(洞爺駅前⇔洞爺湖温泉エリア)の2 路線において、WeChat Pay「チケット購入システム」の実証実験を行った。路線バスにおけるWeChat Pay「チケット購入システム」の導入は全国初だ。実験では、サツドラホールディングスのグループ企業であるリージョナルマーケティングの協力を得ている。

WeChat Pay導入でスムーズな乗降が可能に
便利で、使い勝手の良いシステムと確認

登別温泉エリアや洞爺湖温泉エリアでも近年、中国人観光客が増えている。道南バスでも高額紙幣を出して両替するケースが多く、乗務員の負荷がかかると同時に、支払いの時間がかかっていたそうだ。今回の実験では、WeChat Payを導入することで、スムーズな乗降が可能になるかを検証している。

WeChat Pay「チケット購入システム」では、バス停やバス車内にチケット用QR コードを掲示

同実験では、バス停やバス車内に掲示したチケット用QRコードを利用者がスキャンし、人数分のチケットを購入する。その支払い金額を運転手が降車時に確認後、決済を行う流れだ。運転手にとっては、中国人観光客と言葉を交わすことなく決済をしてもらうことができるとともに、降車時間の短縮にもつながる仕組みとなっている。

道南バス 営業部 営業担当 次長 髙本克彦氏は、「1日50件以上の決済取引があり、ドライバーからも非常に助かるという評価をもらっています」と成果を口にする。これまで、降車時の中国人観光客とのやりとりには時間がかかるケースも多く、ドライバーの休憩時間が少なくなるなどの課題もあったが、着実に降車時間を短縮できている実感がある。

WeChat Pay「チケット購入システム」の流れ(リージョナルマーケティングの資料より)

課題としては、降車時に運転手が確認後、支払いを完了する際に、利用者が勝手に精算を押してしまうことがある。その場合は、乗車時間が20分ほどあるため、その時間を踏まえて、決済されたかを把握している。また、利用者のスマホによっては、文字が小さかったり、液晶画面が暗い場合もあるため、年配の運転手では確認しにくい点を挙げた。その課題の解決に向けては、運転手がQRコードを読み取るタブレットなどを携帯することも考えられるが、Wi-Fiやタブレットの導入コストが必要となる。

また、今回の仕組みは二区間で展開しているが、多区間での展開の場合、下りた区間ごとに利用者が金額を入力する必要があるため、導入には課題がある。

なお、洞爺湖温泉では、上記の実験とは別に運転手にターミナルアダプターを持たせたWeChat Pay「チケット購入システム」の実験を実施。バス車内にWi-Fiの電波を飛ばして支払いの実験を実施しているが、事前に窓口で購入されるケースが多いとした。

2019年2月28日で実証実験は終了するが、その後、仮に自社で展開する際はアプリの対応など、コストがかかる点が課題として挙げられる。ただし、「仕組みとしては非常に便利で、使い勝手の良いものであることが確認できました」と髙本氏は語った。

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