2015年3月9日8:00
2016年度末に流通規模1兆円を目指すKDDIの「au WALLET」
使いやすさとポイントの魅力を武器に会員数が伸長
KDDIが2014年5月に発行を開始した「au WALLET カード」が好調だ。利用したい金額を事前に入金(チャージ)して利用するプリペイド式カードでありながら、クレジットカード同様にMasterCard®の決済ネットワークを活用しているため利用できる店舗が多い。また、チャージのしやすさや、便利にポイントを貯めたり使ったりできる点が好評で、登録ユーザーは当初の目標を上回る勢いで拡大を続けている。
既存のMasterCardの決済ネットワークを活用
「ポイントアップ店」ではさらにポイントが貯まる
KDDIが2014年5月から発行している「au WALLET カード」は、世界3,810万のMasterCard®加盟店(参考:Nilson Report 2014年3月号)、およびKDDI傘下のWebMoney加盟店で利用できる。発行手数料は無料で、入金上限額は10万円。チャージはau WALLET アプリ/サイトからauかんたん決済、じぶん銀行、クレジットカード、WALLET ポイント/auポイントによるチャージ、もしくはauショップにて現金によりチャージを行う仕組みだ。
ポイント付与率は原則、200円につき1ポイントだが、全国25社、約2万3000店舗(2015年1月末時点)の「ポイントアップ店」ではそれ以上の付与率でポイントがつく。
貯まった WALLET ポイントは1ポイント当たり1円として、「au WALLET カード」での買い物や、auのご利用料金の支払いに充当できる。
2014年にはテレビCMをはじめとするマス広告を活用し、大々的にキャンペーンを展開。これが功を奏したこともあり、サービスの認知が進み、登録ユーザー数は当初の目標を上回るペースで増加を続けている。auの個人ユーザー数が約3,500万人(2015年1月末時点)のところ、2015年1月12日に会員数は900万人を突破。申込み数は、2015年2月24日に累計1,000万件を突破した。
サービスのわかりやすさをアピールすることで
ユーザーの獲得・利用促進につなげる
「au WALLET カード」は国際ブランドのプリペイドカードのインフラを利用している。発行当時、国際ブランドのプリペイドカードは、日本ではまだなじみが薄かったが、「au WALLET カード」により消費者の認知度を上げる役割も果たした。
KDDI 新規事業統括本部 新規ビジネス推進本部 事業開発部長 中井武志氏は、「現時点でも技術的にはさまざまな機能を付加することは十分可能ですが、普及期においてはあえて複雑な機能は付けず、わかりやすさ、使いやすさをアピールしています」と説明する。
具体的には、より多くの店舗で使うことができ、チャージしやすく、ポイントを貯めやすい環境を整えることによって、ポイントを「貯めて」「使う」スムーズな循環をサポートすることに徹している。
KDDIではサービス開始と同時に、「au WALLET アプリ」をリリース。簡単な操作でポイント確認、残高照会、チャージ、およびポイントアップ店の検索などを行うことができ、このアプリの利用率は非常に高くなっているそうだ。
小額決済が中心となるプリペイドビジネスの利益率は決して高いとは言えないが、好きなところで好きなようにポイントを貯めて使えるメリットを訴求することによって、顧客の利便性を高め、ロイヤルティ向上を図ることも、「au WALLET 」導入の目的となっている。
「お客様に『auを選んでよかった』と感じていただき、ずっとauのファンでいていただくため、アプリによる使いやすさ向上やポイントアップ店の開拓などに力を入れ、「au WALLET カード」を更に魅力のあるサービスにしていきます。また、au IDをキーにお客様の利用履歴が収集・蓄積されていきますので、近い将来にはこれに基づき、個々のお客様に対して心地の良い“気づき”を提供するレコメンドができるようにしていきたいと考えています」(中井氏)
当面は、スタート当初に2016年度末の目標として掲げた流通規模1兆円の早期達成を目指すが、順調に利用額は伸びているそうだ。ユーザー数がすでに一定規模に達した今、KDDIはこれをauの新たなプラットフォームととらえており、今後はさまざまな角度から活用の可能性を探っていく考えだ。
なお、2014年10月28日から、KDDIフィナンシャルサービスと共に、「au WALLET」の新サービスとして、「au WALLET クレジットカード」の発行を開始している。
※本記事は「カード決済&セキュリティのすべて」に最新情報を加えて紹介しています。