Flags(フラッグス)

2015年3月17日8:40

「DCC決済サービス」導入で外国人観光客が自国通貨建てで決済可能に
クレジットカード、銀聯、電子マネーと多彩な決済手段に対応

小田急グループの株式会社フラッグス運営のショッピングビル「Flags(フラッグス)」では、訪日外国人対象の外貨建てによるカード決済サービス「DCC(ダイナミック・カレンシー・コンバージョン)決済サービス」を導入している。これにより、訪日外国人は、従来の円建て決済に加え、自国通貨建てで決済が選択可能となり、為替変動の心配なく、利用時点での為替レートで支払金額を確定可能だ。また、複数の電子マネーも導入しており、顧客の利便性向上に力を入れている。

訪日外国人の8割がアジアからの観光客
10通貨の外貨決済に対応

1998年10月開業の「Flags」は新宿駅前の好立地に位置している。フラッグス 管理部部長兼経理課長兼総務課課長 松井邦彦氏は「新宿駅から近いこと、『TOWER RECORDS』『OSHMAN’S』『SHIPS』『BEAUTY&YOUTH UNITED ARROWS』『And A』『AMERICAN RAG CIE』『Afternoon Tea LIVING ReMIX』『GAP』などテナントに名のある企業が入店していますが、新宿はさまざまな商業施設が軒を構え、競争は激化しています。また、外国人の旅行者も増えているため、その対応も強化する必要があります」と説明する。

新宿駅前の好立地の商業施設「Flags」

Flagsでは、2014年2月1日から、三菱UFJニコスの決済端末「J-Mups」を導入。以前は別の企業の端末を利用していたが、電子マネーやポストペイも併せて導入している。管理部 経理課 課長代理 平井宏明氏は、「以前の端末では、クレジットカードと銀聯専用の2台の端末を設置する必要がありましたが、現在は1台の端末で運用できています」と笑顔を見せる。

Flagsに来店する訪日外国人旅行者の約8割がアジアからとなっている。中でも中国が最も多く、次いで台湾と韓国の観光客が続いている。管理部 営業課 課長代理 今村裕司氏は、「外国人の方の売上を調べると、銀聯決済を全体の約4割の方が利用しています」と話す。

多通貨決済導入の経緯としては、外国人旅行者が増加していること、また、東京五輪などを見据えた時、免税とは別の形で便利なサービスを追加する必要があったという。さらに、銀聯以外に便利なサービスを展開したいと考えた際、多通貨決済は有効な手段であると考えた。導入後の感触としては、「特にビジネスでお越しになられている方には経費の精算が便利になるようです」と今村氏は口にする。

提供通貨は、米ドル、韓国ウォン、豪ドル、台湾ドル、ユーロ、香港ドル、シンガポールドル、英ポンド、タイバーツ、カナダドルの10通貨。

訪日外国人に向けての対応は、地域や近隣商業施設と連動したインバウンド施策を考えている。今村氏は、「国や行政でも訪日外国人の取り組みに力を入れているため、今後はさらに伸ばしていければと考えています」と意気込む。

多彩な決済手段導入が売り上げに寄与
免税品の取り組みに力を入れる

なお、Flagsでは、多彩な決済手段を導入することで、売上にも寄与できるという考えのもと、クレジットカードや銀聯以外にも「J-Debit」、「Suica」や「PASMO」を含む交通系電子マネー、「楽天Edy」、「iD」や「QUICPay」のポストペイ決済を導入している。

Flagsでは、J-Mups導入をきっかけに、決済手段が整備されたため、今後は免税品の取り組みに力を入れていく方針だ。

左からフラッグス管理部 営業課 課長代理 今村 裕司氏、管理部部長兼経理課長兼総務課課長 松井 邦彦氏、管理部 経理課 課長代理 平井 宏明氏

自国通貨でのカード決済を実現
多通貨決済への注目が高まる

近年、増加する外国人観光客に対応するため、ホテルや商業施設、家電量販店などで多通貨決済サービスに対応する企業が増えてきた。また、ゲームや書籍、音楽といった日本のECサイトを利用する海外ユーザーも増加しているが、日本EC事業者でも多通貨決済を導入している企業も見受けられるようになった。これまで、日本の企業が外国人などに提供するサービスは、日本円で決済されており、例えば外国人旅行者が利用するカード発行国の為替変動や国際ブランドの換算日のレートなどのため、請求書を確認するまで請求金額がわからないという課題があった。外貨決済を利用することで、為替の変動などを気にすることなく、自国通貨で表示された金額で決済が行える。利用者にとっては、表示された金額で買い物ができるため、購買意欲をさらに高めることが可能となる。リアル店舗で利用されている多通貨決済には、外国通貨の管理は不要で、為替手数料やマークアップ手数料を自動で計算し、日本の請求額と外貨の料金を並列して表示することで、ユーザーが決済方法を選択できる「DCC(ダイナミック・ カレンシー・コンバージョン)」がある。また、事業者が外貨通貨の販売額を定めることができる「MCP(マルチ・カレンシー・プライシング)」もあり、EC決済を提供する企業に適した手段となっている。

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