ポイントビジネスの最新トレンド

2018年4月27日8:00

国内では汎用的に使用できるポイントサービスが群雄割拠の状態だ。また、2017年9月から、官製の共通ポイントとも言われる「自治体ポイント」がスタートしている。そこで、ポイントサービスの動向に詳しい、ポイ探 代表取締役 菊地崇仁氏に、ポイント業界のプレイヤーの動向、マイキープラットフォームの概要と現状、今後のポイントサービスの注目点について説明してもらった。

ポイ探 代表取締役 菊地 崇仁

現在のポイント業界の主要プレイヤー

1960年頃から開始した国内のポイントプログラムは優良顧客の囲い込みのためのサービスであった。購入時に支払金額に応じてスタンプやポイント、シールなどを獲得でき、一定数まで貯まると店舗での商品購入や商品券に交換できる仕組みとなる。

この顧客囲い込みの仕組みを変えたのが2003年に開始した共通ポイント「Tポイント」だ。TSUTAYAだけでなく、ファミリーマート(開始当初はローソン)やENEOSなどの加盟店でTカードを提示すると、Tポイントを貯めたり・使えたりできるようになった。これだけであれば、囲い込みの店舗が増えただけである。

Tポイントは一歩踏み込み、Tカードを提示したときに受け取るレシートにクーポンを印刷する機能を搭載した。このクーポンを持って他の加盟店に行くと、同じようにTポイントを貯められ、またクーポン付きのレシートを受け取ることになる。つまり、優良顧客の囲い込みサービスから、加盟店企業への送客ツールになったということだ。

勢いの増した共通ポイントだが、さらなる進化を遂げる。2013年7月にYahoo!ショッピングなどで貯まる「Yahoo!ポイント」が廃止され、「Tポイント」に統合となった。この出来事によりポイント業界は大きく動くことになる。

2014年7月にPontaポイントとリクルートポイントが連携を開始し、2014年10月には楽天が楽天ポイントカードを新たに発行。リアル店舗だけの「共通ポイント」から、ネットとリアルの「共通ポイント」という流れだ。これにより、ポイントの使い先が一気に増え、消費者の満足度も向上した。

2015年12月には、ドコモもdポイントカードを新たに発行し、ケータイの利用料金で貯めたポイントをローソンなどのdポイント加盟店で使ったり貯めたりできるようになった。従来まで、機種変更やアクセサリなどの購入時にしか使えなかったポイントだったが、使いやすさの追求に方向転換している。

JR東日本が2016年2月に開始したのがJRE POINTだ。アトレやグランデュオなどの駅ビルのポイントプログラムを統合。2017年12月にはSuicaポイントもJRE POINTに統合され、2018年度にはクレジットカード「ビューカード」のビューサンクスポイントもJRE POINTに統合予定となっている。

2016年4月、関西圏の阪急阪神ホールディングスが開始したのがSポイントとなる。クレジットカード「STACIAカード」などのポイントプログラムが統合。2016年6月にはイオンの「WAON POINTカード」がスタート。イオングループの共通ポイントとなるが、2017年12月からはスーツの「はるやま」など、グループ企業以外にもWAON POINTを導入し、グループ内共通ポイントから共通ポイント化し始めている。2017年7月にはJR九州のSUGOCAポイント、eレールポイント、JQポイントが統合され、JRキューポとなるなど、グループ内でのポイント共通化が進んでいる。

グループ内の共通化が進む理由は送客ツールとしての効果が高いためだ。アパレル業界はブランドごとにポイントプログラムを立ち上げ、それぞれ別々のポイントプログラムを運営していることが多いが、あるアパレル企業がブランドごとのポイントプログラムを統合したところ、2ブランド以上を利用するユーザーが統合前に比べて1.8倍にもなったというデータもある。

セブン&アイグループもスマートフォンアプリによるグループ共通のポイント制度を検討するなど、今後も共通ポイント・グループ内共通ポイントから目が離せない。

従来のポイントカードと共通ポイントカード

マイキープラットフォームの概要と現状、可能性について

2017年9月に官製の共通ポイントとも言われる「自治体ポイント」がスタートした。まだまだ知名度は低いと思われるため自治体ポイントについて概要を説明しよう。

総務省は2015年10月より「マイナンバー制度」を開始。マイナンバーの「通知カード」を発行し、希望者には写真付き身分証にもなるICチップ搭載のプラスチックカード「マイナンバーカード」を発行している。通知カードからマイナンバーカードに切り替えさせたいのだが、思うように切り替えが進まない。2017年7月3日時点でのマイナンバーカードの申請件数は1,411万9,344件、交付実施済み件数は1,188万7,676件となり、9人に1人程度の保有となっている。

CCCマーケティングが2017年2月17日に発表した「ポイントカードに関する意識調査」の結果によると、日本国民一人あたりが保有するカード平均枚数は約20枚、財布に入れているカード枚数は約10枚となった。これらのポイントカードを1つにまとめたいと感じている利用者は85%となり、ポイントカードの枚数に不満を持っている利用者は多いことがわかる。そこで、多くの国民が保有しているポイントカード機能をマイナンバーカードに搭載できれば、マイナンバーカード普及のきっかけになると検討を開始した。

ポイント発行企業にマイナンバーカードへのポイントカード機能搭載について打診したが、どの企業もなかなか乗ってこない。そこで方針を変え、さまざまなポイントをマイナンバーカードのポイントに移行できるようにし、地方自治体でポイントを利用できる方法に切り替えた。これが自治体ポイントとなる。

野村総合研究所によれば、年間のポイント発行額は約1兆円となっている(国内11業界の主要企業)。クレジットカードのポイントは3~5割程度失効しており、これらの3,000~5,000億円分の失効ポイントを地方自治体に回せば地方活性化にもつながる。これが「マイキープラットフォーム構想」だ。

開始当初、自治体ポイントへのポイント交換に参加した企業は12社。今後も大垣共立銀行などのポイントが対応する予定となっている。対象ポイントが増えれば分散しているポイントをひとまとめにすることが可能となり、地域への送客ができれば「国の共通ポイント」は成功するだろう。

構想は非常に良いのだが、問題は制度の複雑さだ。マイナンバーカードを入手後、マイキープラットフォームにログインするマイキーIDを作成する必要がある。マイキーIDはPaSoRiという端末を保有していれば自宅でも作成できるが、保有している人は少ないだろう。マイキーIDを作成できる自治体窓口は少なく、このID 1つの作成でもハードルは高い。マイキーIDを作成すれば、ブラウザでもAndroidのアプリからでもマイキープラットフォームにログインできるようになる。

ログイン後は、JALやANAのマイルやクレディセゾンの永久不滅ポイント、JCBのOki Dokiポイントなどを自治体ポイントに交換することになるが、それぞれの企業のWebサイトのログインIDやパスワードを把握していなければポイント交換もできない。

そもそもポイントを失効している人はポイントが失効していることに気がつかないことも多く、Web明細を見るような人も少ない。ここまで複雑なポイント交換をするメリットは小さいことを考えると、なかなか普及は難しいだろう。

対象のクレジットカードやマイレージカードとマイナンバーカードを持って行けば直ぐに交換できるような端末を用意したり、マイキーIDを作成できる窓口を増やしたりしなければ自治体ポイントへの交換は増えない。また、ポイント交換の単位も高額となっているため、少ないポイントでの交換も用意すべきだ。交換後の自治体ポイントも、それぞれの自治体でしか使えないポイントとなるため、もう少し柔軟な設計に変更すれば利用者も増える可能性はある。

少ないポイントをひとまとめにできるようになり、ポイント交換が活発になると、経済効果も出てくるだろう。「自治体ポイント」の今後の動きに期待したい。

「自治体ポイント」の概要

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