国内で年々拡大するクレジット、 デビット、プリペイドの状況は?

ブランドデビットは発展途上
現金感覚で使えるキャッシュレス

ブランドデビットは、端末、与信システムなど、ペイメントカードの国際ブランドカードが運営するインフラをそのまま利用できるシステムだ。

デビットカードの動向をみると、2018年まで活発だった発行は2019年以降は落ち着いている印象だ。新たな動きとして、千葉銀行が2020年10月1日から「TSUBASAちばぎんVisaデビットカード」の発行を開始。イギリスのTransferWise(トランスファーワイズ)は、2021年1月26日、57種類の通貨を保有・利用できる「TransferWiseマルチカレンシー口座」に紐づき、ボーダーレスにお金の両替・送金・受領・引き出しができる「TransferWiseプラチナデビットカード」を日本で発行開始している。みんなの銀行は、2021年5月下旬に予定している同行のサービス提供開始に合わせて、カードレス決済が可能なバーチャルデビットカードの提供を開始する予定だ。

年会費無料のVisa デビット「TSUBASA ちばぎんVisa デビットカード」。「Visa のタッチ決済」機能を付帯(出典:千葉銀行)

ブランドデビットの市場規模はまだ小さく、認知度も発展途上だ。利用者自身もデビット機能がカードに搭載されていることを認知していないケースもあるだろう。近年はGoogle PayやApple Payといったモバイル決済対応、IoT連携を進めているサービスもあるなど、稼働率アップに向けた取り組みが行われている。現金感覚で使えるキャッシュレスサービスとしての浸透に期待したい。

なお、ブランドデビットは以前、銀行にとって運用が課題となっていたが、クレジットカード会社が発行会社となり銀行と共同発行を行うケース、業務受託を行うケースも出てきている。例えば、三菱UFJニコスはクレジットカード事業で培ってきたノウハウ・システムを活かし、ブランドデビットの業務受託を行っている。また、オリエントコーポレーションもトマト銀行から「トマトMastercardデビット」の発行業務を受託している。

プレイヤーが増加するQR/バーコード決済
存在感が増しセキュリティ対策も重要に

QR/バーコード決済サービスは、前述のようにクレジットカードとの紐づけ、前払いでのチャージ、銀行口座直結など、さまざまな運用が行われている。QR/バーコード決済サービスには、POSに接続したバーコードスキャナーやタブレットのカメラで利用者のQRコードやバーコードを読み取って支払いを行う「CPM方式(Consumer Presented Mode)」がまず1つある。また、QRコードを印刷したPOPをレジなどに設置し、利用者がそのQRコードを読み取ることで支払いを行う「MPM方式(Merchant Presented Mode)」も登場している。CPM方式では、レジでコードを読み取ることにより、どのサービスかを自動識別する運用が広がってきた。また、MPM方式は、中小加盟店が決済端末を設置しなくてもサービスを導入できることがメリットだ。

メルカリとメルペイ、NTT ドコモは、全国の加盟店において2020年9 月から、1 つのQR コードで「メルペイ」と「d 払い」の両スマホ決済サービスが利用できる取り組みを行っている

QR/バーコード決済事業者として、PayPayが利用者、加盟店の拡大でリードしているといえる。LINE Payは、コード決済に加え、三井住友カードと提携し、2020年春から「Visa LINE Payクレジットカード」の発行を開始している。携帯キャリアのNTTドコモの「d払い」、KDDIの「au PAY」も潤沢な資金を活用した販促を展開しており、利用者は拡大傾向だ。d払いは「dポイント」、au PAYは「Ponta」と、共通ポイントと連携した販促施策を積極的に行っている。さらに、QRコード決済事業者が提供するアプリに、日常生活で利用するさまざまな機能、金融サービスを搭載した「スーパーアプリ」を掲げる企業も出てきている。

流通系のQR/バーコード決済サービスも登場している。ファミリーマートでは、クーポン、ポイント、決済が可能なオールインワンをコンセプトとしたスマホアプリ「ファミペイ」を展開しており、ファミリーマート以外の加盟店開拓も進めている。2021年夏以降は、後払いと借入希望者へのローンを開始する予定だ。また、パルコの「ポケパル払い」、無印良品の「MUJI Passport Pay」、ユニクロの「UNIQLO Pay」、三井不動産の「アプリde支払い」など、独自の支払いサービスが展開されている。

銀行が展開するサービスとしては、GMOペイメントゲートウェイが「銀行Pay」の基盤システムを提供。同基盤システムをゆうちょ銀行、三井住友銀行、横浜銀行、福岡銀行、広島銀行、北陸銀行などが活用している。また、みずほフィナンシャルグループもみずほ銀行に加え、地方銀行預金口座と連携したスマホ決済サービス「J-Coin Pay」を展開しており、告知を強化している。

日本電子決済推進機構は、2019年10月31日から、スマホ決済サービス「Bank Pay(バンクペイ)」の先行展開を実施。2020年9月には他の決済サービスの不正利用被害を受け、利用登録時の本人確認厳格化、および口座振替登録におけるセキュリティレベルの高度化を図ると発表している。オールバンクのスマホ決済サービスとしての展開に加え、ホワイトラベルとしての運用にも注目が集まる。

主要なQR/ バーコード決済

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